美容師のセンスは「刻み込み」で決まる -DaB八木岡聡さんの習慣 後編-

「生むためのルーティン」は自然と出てくるべきもの

 

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なぜ自分の中に刻み込みが必要なのかというと、それは僕たち美容師っていうのは、自分自身がクリエイションの素であり、「生む人間」だからです。ヘアサロンにきたお客さまからすると、ヘアスタイルという最終商品が見えていません。最初から商品が目に見えるカタチで置いてあるビジネスとは違う。僕が生む仕事って言っているのはこのこと。美容師の手が入ることによって、ヘアに価値が生まれるわけだから。

 

一人のお客さまを長く担当し、満足してもらうことが、成功する美容師の条件だと思います。中身が何もないのに、上っ面だけよく見せようとしている人は長くやれないですよ。反対に長くやれる人というのは、それなりの、しっかりした「刻み込み」をたくさん持っているからです。

 

僕が担当しているお客さんのなかには、僕のヘアカットを縁起物みたいに考えている人もいます。八木岡さんに切ってもらわないと縁起が悪いみたいな(笑)。お客さまは、デザインや技術だけを求めているんじゃないんですよ。

 

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それに、クリエイティブな仕事っていうのは、「さあやろう!」って言ってやるものではありません。継続していくなかで生まれていくものだから。今日だけクリエイションするぞっていうのはちょっと違います。それまでの刻み込みがあってのクリエイションです。だから、美容師の「生むためのルーティン」というのは、必然的に出てこないといけないと思いますね。

 

自分にはそういうルーティンがないっていう人には、「今からやりなさい」と伝えたいです。1年でも続けたら、きっと成長を感じられると思います。

 

プロフィール
DaB/株式会社ビタミンズ代表 八木岡 聡(やぎおか さとし)

神奈川県出身。山野美容専門学校卒業。「SHIMA」でディレクターとして就任。デザイナーとして渡米。退社後渡仏。帰国後1995年に株式会社ビタミンズ設立。代官山・表参道でヘアサロン「DaB」を展開。ハイデザイン&ハイテクニックの美容師を育成し、価値あるヘアサロンブランドへと昇華させた。インダストリアルデザイナーとして、家具や照明、美容器具や化粧品の企画やデザイン、化粧品開発やディレクションなどにも従事している。

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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