美容師歴40年の中で培われた心と体を整える“何気ない”習慣 -HEAVENS  小松 敦さんの習慣 前編-

いつ何時もベストを尽くすための準備

 

 

なぜ僕がその日の仕事で使う予定がなくてもカメラの手入れをするかというと、これは自分が納得するためのものなんです。良い仕事をするためには、良い仕事をするための準備が必要だと思います。ハサミもカメラも僕らの仕事道具だから、いつでもベストのパフォーマンスを発揮できるように、たとえその日に使う予定がなかったとしても、整えておきたいんです。

 

 

毎日、仕事道具を触ることは、とても大切なことだと思います。僕がデザイナーとしてデビューする前は、四六時中シザーを握りっぱなりでした。サロンで練習しているときはもちろん、家に帰ってテレビを見ているときも、横になっているときも、ずっとシザーを触っていましたね。そうでもしないと、頭の中でイメージしているように、指先を動かせないと思っていたんですよ。

 

自分の手を思い通りに使うのは簡単じゃないですか。それと同じくらい、シザーを使いこなせるようになりたかったんです。カメラに関しても同じ。カメラも自分の体の一部のような感覚で操れる状態でありたい。だから、シザーとカメラの手入れは、自分の体の手入れと同じようなことです。

 

 

習慣は日々の積み重ねによってつくられるもの

 

 

習慣は意識せずにやっていることが、自然に積み重なることによって、形作られるものだと思います。続けていくうちに、「これがやりやすい」「これをすると調子がいい」とか、そういうものが見えてくる。昔からずっと今の習慣を続けているわけではなく、生活エリアが変わったり、職場が変わったりすることによって、習慣も変わってきました。そして、今に至っているのです。

 

毎朝同じことをしていると飽きそうなものなんだけれど、習慣は飽きることはないですよ。もし、僕が朝のルーティンを飛ばしてしまったら、その日はずっとふわふわして落ち着かなくなってしまうでしょうね。

 

一方で、無理に習慣をつくる必要はないのかな、とも思います。自分にとって心地よいことは、いつの間にか習慣化されていくものだからです。たとえば毎朝、同じものを食べると決めているアスリートのように、食から始めてみるのもいいのかもしれない。何をすればいいというものではなくて、続けることでメンタルの安定につながるのなら、それがいい習慣なんですよ。

 

 

 

プロフィール
HEAVENS  
代表/小松 敦(こまつあつし)

1993年HEAVENS設立。独自の技術論「ツーセクション・カット」やアグレッシブなヘアデザインで注目されJHA受賞。一般誌・業界誌・広告のヘアデザインから国内外でのヘアショーやデモストセミナーなどのステージワーク、ヘア作品の撮影スキルセミナーでも活動。各地で開催されるヘアデザインコンテストの審査員を多く担当し、2016年よりJHAの審査員に就任。最近ではヘアデザインの表現思考「リアリティブ」を提唱。他にヘアプロダクツやアプリやイベントのアドバイザー・プランニングなど活動は多岐にわたる。自身のライフワークにおいて、サロンワークを最も大切で刺激的な事としている。Leicaの愛好家でもある。

 

(文/外山 武史 撮影/金田 裕平)

 

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