東京への夢は届かなかった。それでも25歳で広島に独立。XIAの小林拓也が、地元美容業界に新たな風を吹かせるまで
フリーランスを経て、チームで働くサロンをつくりたいと感じた

退社後は、物件を探しながら開業資金を貯めるために、約1年間サロウィンでフリーランスとして働きました。実際に経験してみて感じたのは、「フリーランスは自分には向いていない」ということ。自分一人で完結するサロンワークが、どうもしっくりこなかったんです。やっぱり僕は、一人で仕事をするよりも、仲間と一緒にチームをつくり、お店を育てていくほうが性に合っている。そのことを改めて実感したことで、「早く自分のサロンをつくりたい」という思いがさらに強くなったんです。物件探しには想像以上に苦戦しましたが、約1年かけてようやく理想の物件と出会うことができました。そして、サロウィンの開業支援サービス「ALL SHARE」を利用し、今年3月、念願だった自身のサロンをオープンすることになります。

サロンをオープンして数カ月。XIAはデザインカラーを強みに打ち出しているサロンですが、それだけにとどまらず、オールジャンルで幅広い年齢層のお客さまにいらしていただいています。そして何より一番楽しいのは、自分が理想としていた組織が少しずつ形になってきていることです。
僕が目指しているのは、全員を同じ美容師に育てることではありません。それぞれが自分だけの武器を持ち、人としても魅力のある美容師に成長していくこと。そのために役職やポジションも用意していますし、将来独立したいスタッフがいれば、その夢も応援したい。技術が大事なのは当たり前で、デビューもできれば早いほうがいい。ただ、それ以上に大切にしているのが「人間力」です。どれだけ技術があっても、美容師はお客さまや仲間から信頼され、愛される仕事。だからこそ、人として成長できる環境をつくることを何より大事にしています。

そう思うようになったのは、若い頃から店長やマネージャーとしてさまざまなスタッフを見て、育てる経験を重ねてきたからかもしれません。それに、もともと僕は、何事にも「なぜ?」と疑問を持つタイプでした。その癖が、サロンで働くうちに自然と人や組織にも向くようになり、「どうしたら彼は成長するんだろう」「どうしたら相手の力を引き出せるんだろう」と考えるようになったんです。人に関心を持つようになったからこそ、「人間力」が大事とより強く感じているのだと思います。自分一人で成果を出すことよりも、人を育てて一緒に成果を出すほうが何倍も難しい。でも、その分、大きな喜びがあります。
だからスタッフにも、「なぜこの施術をするのか」「なぜお客さまはこのスタイルを求めているのか」と、常に疑問を持つことを伝えています。ただ作業をこなすのではなく、自分の頭で考えること。そして、小さな成功体験を積み重ねながら、自信をつけていってほしい。それが、人としても美容師としても成長する一番の近道だと思っています。
サロンもスタッフも成長させて、広島から美容業界を盛り上げる

今後は、3年で5店舗の出店を目標にしています。まずは広島県内で店舗を増やし、ゆくゆくは東京や大阪、福岡への展開も視野に入れています。そのステージまで、自分もサロンも成長していきたいですね。
そして、まだ25歳だからこそ、プレイヤーとしても貪欲でいたいと思っています。僕個人の思いとしても、売上はもっと伸ばしたい。でも、それ以上に「ここまでできるんだ」という姿をスタッフに見せたいんです。その背中を見せることも、経営者としての大切な役割だと思っています。
一方で、僕が目指しているのは、自分のサロンだけが成長することではありません。広島には長く地域を牽引してきた素晴らしいサロンがたくさんあります。けれど以前から、「サロン同士の横のつながりは、まだまだ少ない」と感じていました。最近は合同イベントなども増えていますが、もっとサロンの垣根を越えて交流し、お互いに学び合える環境があってもいいと思うんです。特色のあるサロン同士が刺激を与え合い、その学びを業界全体に還元していく。そんな風土が広島に根付けば、若い美容師たちにとっても、もっと可能性の広がる街になるはずです。
自分のサロンを成長させることはもちろん、その先には広島の美容業界全体をもっと面白く、もっと開かれた場所にしていきたい。学生の頃は、東京で働くことばかりを考えていました。でも今は、広島から全国を目指したいと思っています。そんな未来を思い描きながら、今日も挑戦を続けています。

- プロフィール
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XIA/オーナー
小林拓也
広島県出身。広島美容専門学校卒業後、広島県内のサロンに新卒入社。入社10カ月でスタイリストデビューを果たし、店長、マネージャーを経験。その後フリーランスを経て、25歳の節目となる2026年3月に自身のサロン「XIA」をオープン。オーナーとしてサロン運営やスタッフ育成に力を注ぐ一方、再現性の高いカットとハイトーンカラーを武器に、幅広い世代の顧客から支持を集める。
Instagram:@abrir0412
(文/富樫聡美 撮影/山元裕人)
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