東京への夢は届かなかった。それでも25歳で広島に独立。XIAの小林拓也が、地元美容業界に新たな風を吹かせるまで

25歳で独立し、目標は3年で5店舗――。広島県で2026年に自身のサロンXIA(シア)をオープンした小林拓也(こばやしたくや)さん。
そんな小林さんの勢いのあるキャリアの裏側には、「お客さまからも仲間からも愛される人が育つ組織をつくりたい」という強い信念があります。しかし実は、そのキャリアの始まりは、思い描いていたものとは少し違っていました。東京への憧れを胸に就職活動をするも、思うような結果は得られず、地元・広島で美容師人生をスタート。それでも持ち前の向上心で入社10カ月でスタイリストデビューを果たし、店長、マネージャーを経て、25歳で独立を実現します。
小林さんのこれまでのキャリアと、サロンをオープンした今だからこそ語れるスタッフ育成への想い、そして広島の美容業界をもっと盛り上げたいという未来へのビジョンまで。若きオーナーが描く理想のサロンづくりに迫りました。
東京を諦め、地元・広島で就職

専門学校の頃は、東京で働くことを夢見て就職活動をしていました。だけど、思うようにはいかなくて。悔しかったですね。「もっと実力があれば」と思いましたし、この先どうしようかと迷っていた時期でもありました。
そんなとき、アルバイトをしていた飲食店に、一人のお客さんがやってきます。それが、のちに僕が新卒で入社することになるサロンの代表でした。その場で声をかけてもらったことをきっかけに話が進み、気づけば面接もないまま入社することに。実は、そのサロンで働いていた専門学校の先輩が僕のことを推薦してくれていたことも大きかったみたいです。あまりにもトントン拍子に話が進んだので、そのサロンのことは正直ほとんど知らない状態。サロンモデルとして一度足を運んだくらいで、雰囲気も働き方も、何が売りのサロンなのかもよくわからない(笑)。それでも「ここで働こう」と決めたのは、代表の人柄に惹かれたからです。「この人についていきたい」。そんな直感だけを頼りに、何も知らないまま飛び込みました。
がむしゃらに働き、最速のステップアップ

入社したサロンでは、約4年間働きました。当時の広島では、「カラーといえばこのサロン」と言われるほど知名度が高く、若手スタイリストがどんどん活躍していく勢いのあるサロン。そんな環境だったこともあり、僕自身も早くから入客のチャンスに恵まれ、入社10カ月ほどでスタイリストデビューしました。周りの同期も早いスピードで成長していましたが、僕は「早く現場に立ちたい」という思いが強くて。オーナーに「早くスタイリストとして、僕を使ってください」と直談判したこともあります。その思いが伝わり、同期の中でも最速でスタイリストデビューを果たすことができました。サロン自体の高い集客力も追い風になり、スタイリストになってからも売上は順調。その後は、役職にも就かせてもらい、当時5店舗ほど展開していた会社で、3年目には店長、4年目からはマネージャーというポジションを任されるようになりました。マネージャーという役職も、最初から会社にあったわけではなくて。「こういうポジションが必要だと思います」と僕から提案して、作ってもらった形です。

もともと僕は負けず嫌いで、向上心が強い性格だと思います。ただ、学生時代はそのエネルギーをうまく活かせていなくて、先生からすると少し扱いづらい生徒だったかもしれません(笑)。授業を休むこともあるけれど、やるべきことはちゃんとやる。そんなタイプでした。それが、仕事となった途端にスイッチが入ったんですよね。「もっと上に行きたい」「もっと変えていきたい」「もっと会社を良くしたい」。そんな思いが、自分を突き動かしていました。ありがたいことに、そんな自分の熱量に対して、しっかり向き合ってくれる先輩たちがいたんです。だからこそ、挑戦し続けることができました。

恵まれた環境ではありましたが、入社した当初から独立という夢は持っていました。それも「いつかできたらいいな」ではなく、「25歳には独立する」と具体的な目標として決めていたんです。というのも、身近にいた先輩や、当時上司だった方たちの中に、25歳前後で独立した人がいて。キャリアの序盤で自らの道を切り拓いていく姿を見て、「自分もそこに追いつきたい」と憧れていたんです。そのためにも、ただ技術を磨くだけではなく、早い段階でマネジメントに携わる立場を経験したかった。
でも、自分自身の成長のためだけではありません。いつか独立して会社を離れるなら、「自分がいなくなっても大丈夫」と思える状態にしたから出たい。スタッフが成長できる環境を整え、お世話になった会社がさらに伸びていける土台を作っておきたいと思っていました。
そうやって組織づくりに取り組みながら、独立のタイミングを探っていました。最後の一歩を踏み出すきっかけになったのが、尊敬する先輩の一言です。「会社に守られているからいろんなことを決断できているだけで、本当の意味でリスクを背負う覚悟は、まだできていないよね」。
その言葉を聞いたとき、確かにその通りだと思ったんです。大きなリスクを取って挑戦できるのは、若いうち。そして、仮に失敗しても、若ければいくらでもやり直せる。そう考えたら、「今しかない」と腹をくくることができたんです。その後、代表に独立の意思を伝えました。もともと将来独立したいという思いは伝えていましたし、自分なりにスタッフの育成や会社の組織づくりにも必死に取り組んできた自負があります。だからこそ、代表は二つ返事で「いいよ。頑張れ」と背中を押してくれました。
>フリーランスを経て、チームで働くサロンをつくりたいと感じた
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