「俺らだったら大丈夫でしょ」友の言葉を信じて、売上3倍。そして教育者へ―美容師のコトダマfifth上原俊樹さん―

第一線で活躍する美容師たちの人生を変えた「言葉」に迫る連載企画「美容師のコトダマ」。今回登場するのは、破竹の勢いで成長し、今や400名のスタッフを有するfifth(フィフス)のテクニカルディレクター上原俊樹(かんばるとしき)さん。メンズヘアの高い技術とデザイン力で、fifthグループ全体の教育を統括しています。
一度は美容業界を離れフリーターとなり、26歳のときに学生時代からの友人である木村允人さん(fifthグループ代表)に誘われ、fifthで再び美容師の道へ。月売上130万円から200万円、350万円、400万円、そして650万へ。現在は教育者として後輩の成長を支えています。そんな上原さんを導いてきたコトダマは、先輩でも恩師でもなく、木村さんの言葉でした。尊敬し合う同志だからこそ響いた言葉が、上原さんの美容師人生をどう変えてきたのか。その軌跡を追います。
「俺らだったら大丈夫でしょ」

僕にとって、人生を変えたコトダマは、すべて木村の言葉です。美容師人生の節目ごとに投げかけられる言葉が、いつも僕に変化と挑戦をくれました。
木村とは美容専門学校から一緒で、もともとめちゃくちゃ仲のいい友達でした。最初に入ったサロンも一緒だったんですが、僕は半年くらいで辞めて転職。1年半くらいアシスタントをしていたのですが、そこも辞めて一度美容師から離れています。
その後しばらくは、引越し屋さんとか、美容と関係のないバイトをしていました。でも、美容師に戻りたい気持ちはずっとあったんです。

そんなタイミングでその頃、fifthに先に入社していた木村から連絡が来ました。「今、アシスタントいないから、一緒にやんない?」くらいの感じで誘われたんです。正直、少し迷いました。友達同士で同じサロンに入って、関係がギクシャクしてしまうケースも見ていたので、そういうのは嫌だったんです。でも木村が「俺らだったら大丈夫でしょ」みたいに言ってきて。僕も「まあ、大丈夫か」と(笑)。それで、もう一度美容師に戻ることにしました。
当時、僕は26、27歳くらい。アシスタントとしてはかなり遅いスタートです。「3カ月でパーマ受からなかったらクビね」と先輩からもかなりハッパをかけられて。自分も後がないと思っていたのでさすがに頑張りました。
「メンズに全振りしてみたら?」

fifthに入って、技術的には尊敬する先輩もいましたし、いろいろ教えてもらって感謝しています。ただ、自分のマインドだったり、美容師としての未来を考えるきっかけになったのは、先輩というより木村だったと思います。
木村とはもともと友達なので、仕事の話だけをするわけではありません。同期同士で「こうなったら面白いよね」とか、「これからどうしていこうか」と未来の話をしている時間が、僕にとってはすごく刺激的だったんです。
木村は友達ですけど、ものすごくリスペクトしています。自分も木村に対してそうだし、木村も僕のことを尊重してくれます。だからこそ、木村の言葉は素直に受け止められるんです。
デビューして2、3年の頃、売上がなかなか伸びない時期がありました。月130万円くらいまではいくんですけど、そこからがなかなか伸びない。もっと売上を上げたいという気持ちはあったので、ずっとモヤモヤしていました。

それを見ていた木村が、ある時「メンズに全振りしてみたら?」と言い出したんです。
もともとメンズが得意で、レディースを絶対にやりたいという気持ちが強かったわけではありません。でも、お客さまの半分弱はレディースのお客さま。メンズのみに絞るというのは勇気が入りました。ましてや木村は同期なので、別に言われたから絶対やらなきゃいけないわけではありません。嫌だったらやらなくてもいい。でも、木村自身が数字を出していたし、真剣に自分のことを考えて言ってくれているのもわかっていた。だから、信じてやってみようと思えたんです。
そこから、集客サイトの作品撮りにも力を入れるようになりました。メンズスタイルを意識して作品を撮って、打ち出していく。すると、少しずつ数字が変わっていったんです。最終的には、月200万円くらいを安定して上げられるようになりました。