QUQU 浦さやか×楽人がつくる、5楽章のヘアショー「orchestra」の全貌。「いいかも」では終わらせない。「これだ!」が出るまで考え抜く

2026年8月、渋谷・㈱ダリア JUNCTiON SHIBUYAで、QUQU主催のヘアショー「orchestra」が開催されました。今回のテーマは、その名の通り「オーケストラ」。クラシック音楽を軸に、5つの楽章で構成されたステージには、作曲家の苦悩やひらめき、そしてそこから生まれる新たな表現が、ヘアや衣装、演出によって描き出されました。このヘアショーを手がけるのは、浦さやかさんと楽人(らくと)さん。2人でアイデアを出し合いながら、ときには当初の構想から大きく方向転換し、ときには本番直前まで試行錯誤を重ねて一つのステージをつくり上げました。
今回の「orchestra」は、どのように生まれたのでしょうか? そして、5つの楽章にはそれぞれどんな意図が込められていたのでしょうか。浦さんと楽人さんに、各楽章を振り返りながら、ヘアや衣装、演出に込めたアイデアと制作の舞台裏を解説してもらいました!
「オーケストラ」が決まるまで
―まず、ヘアショーの開催が決まると、準備はいつ頃から着手するんですか?

浦:毎年夏に開催するのですが、その年の年明けくらいから話し始めて、まずは会場などの大枠を決めていきます。フライヤーやチケットなど、外側の準備は開催の3カ月前くらいまでに終わらせて、仕込みや細かい準備は、ほかの仕事もあるので2カ月前くらいからガーッと一気に進めていく感じですね。
―美容メーカーがなど主導するヘアショーとは異なり、サロンが主体となって企画から実施まで手がけるのは、決して多くない形だと思います。あえてお二人でこのスタイルに挑戦したのは、どんな思いがあったからでしょうか?

浦: 2人でやる良さって、どちらかが「こういうのはどう?」とアイデアを出すと、「じゃあ、こうしたら?」と話がどんどん広がっていくところなんです。最初にポンと浮かんだ発想に、もともと考えていたことや、その場で生まれたアイデアが組み合わさって、偶然おもしろい形になっていく。その過程を楽しみながら企画を考えていくことが多いですね。最初に考えていたものとはまったく違う方向に進むこともあるし、逆に一周回って最初のアイデアに戻ってきたりも。
―最終的に「オーケストラ」にたどり着いた背景は?

楽人:前回のヘアショーには、よかった部分と不完全燃焼だった部分があって、お互いに感じていたことも似ていたんです。特によかったのが、全体のまとまりと驚きのバランス。その感覚を今回も出したいよね、という話になって、「一つの大きなテーマでやってみよう」と。それで、いつも音楽を担当してくれている子がいて、その子がクラシックな現代音楽をやっているので、「それをテーマにしてみよう」と。そこから「オーケストラ」というテーマにつながっていきました。
浦:普段のヘアショーって、主催者主導で企画されたものの中に私たちがジョインして、10分くらいのステージを担当することが多いんです。でも、自分たちで1時間のステージを全部決められるという、このヘアショーならではの自由さは活かさないとともったいない。そこも、このヘアショーをやっている理由の一つなんです。だからこそ、1時間をバラバラにするのではなく、今回は全部を一つの塊として見せたいと思いました。一つに絞り切ることで、逆に物足りなくならないかという不安もありましたが、そこはちょっとした賭けだなと。
でも、クラシック音楽って、一つの作品の中でもいろいろな展開があるじゃないですか。だから1曲をベースに、楽章ごとでさまざまなシーンを見せながら、一つの大きなまとまりとして壮大なものにできるんじゃないかなと思ったんです。いろいろな意味で挑戦でしたね。
第一楽章 プロローグ
―では早速、楽章ごとにポイントを教えてください! まず第一楽章からですが、ここは音楽のみでしたね?

浦:そうですね。プロローグのような位置づけで、まずは音楽だけを聴いてもらう演出にしました。
第二楽章 苦悩する作曲家
―第二楽章から、浦さんと楽人さんが登場しますね。

浦:ショーのテーマがオーケストラなので、作曲家や演奏家をテーマにしています。この楽章では、とにかく悩み続ける作曲家を表現しました。だから、終始悩んでいるんです(笑)。モデルさんも上手に悩んでくれましたね。2人は対極にあるスタイリングにしていて、楽人はとにかく悩みすぎて、どんどん沼にはまっていくようなイメージです。
楽人:頭というか、髪がどんどん下に伸びていくようなイメージでした。

浦:主人公が悩みすぎてどんどん髪が伸びて、顔が見えなくなっていくという演出です。私のほうは逆に、悩みすぎて頭がどんどん大きくなっていく。基本的に、私と楽人でつくるときは、何かしら対極になるものを表現しています。共通する部分がありながら、方向性は対極にする。今回は楽人は「下」、私は「上」という構成にしました。2人とも最後まで結論が出ず、ひたすら悩み続けている、というのがポイントです。


−この楽章に登場する2人のモデルさんがすごく個性的でした!
浦:楽人のモデルは、私たちのヘアショーではレギュラーなんです。演技派で、前回は疲れたサラリーマン役も見事に演じてくれて。私のほうのモデルは今回のテーマに合わせて紹介してもらったんですけど、サロンモデルもヘアショーもまったくの素人。だから、変に小慣れていない分、素直に苦悩する表情をしてくれて。スタートとしては、かなりインパクトを出せたと思います。
第三楽章 音と映像で魅せる
―第三楽章も、音楽のみの構成でしたね。

浦:そうですね。次のステージへつなぐ、転換のような位置づけです。2人とも余裕がなくて、ちゃんと聴けていなかったんですけど(笑)。ここは音楽担当の子とVJの2人に自由にやってもらいました。
楽人:僕、そういえばまだ全体を通してみてないな。
浦:インスタに載せるときに一部を切り取って見ることはありますけど、全編は一回も見ないな。ほかのヘアショーもそう。終わっちゃったら、もういいやって(笑)。急に興味がなくなるんですよ。これ、やばいかな(笑)。
楽人:(笑)。僕も何度も見返すわけではないですけど、終わった次の日とかに見ることはあります。今年はまだ見ていないですけど、見返して「あ、ここはダメだったな」「ここはよかったな」と思ったり。意外と「あー、やっちゃった」と思っていたところが、動画で見ると「全然大丈夫じゃん」ってこともありますよ。
浦:たぶん私、自分がダメだったらダメ、OKだったらOKなんですよ。他の人がどう見ているかより、自分の中でのOKかNGかしか考えられない。だから、見返さないのかも。そもそも、自分のことをあまり見たくないのかも(笑)。