AFLOAT取締役・中川恵理 乳がん闘病という逆境の先で見つけた、美容師としての新たな生き方
美容師の枠を超えて。自分の強みで、誰かのための価値を拡張する

―今年の4月には取締役に就任されましたね。
正直、自分のキャリアの中で全く想像していなかったポジションでしたが、現場での取り組みや、これまで幹部が男性ばかりだった中で、女性としての意見を積極的に提案してきたことを評価してもらえたのかなと思います。
現在は、サロンワークに加えて、主にAFLOAT全体のブランディングや集客まわりを担当しています。特に力を入れているのが集客施策で、AIを活用したスタイル提案のチームを立ち上げ、若手スタイリストやこれからデビューするアシスタントをサポート。SNSが苦手な子や、何を発信すればいいかわからない子に対して、「こうすればいい」という具体的な型を提供することで、結果につながるよう伴走しています。
実際に、売上が3倍になったスタッフもいて、変化の手応えを感じていますね。自分がプレイヤーとして数字を追うだけでなく、周りの成長を後押しできることにやりがいを感じています。
また、新しい取り組みとして、TikTokでのライブコマースにも挑戦中です。リアルタイムで商品を紹介し、その場で購入につなげる仕組みで、直接商品の良さを伝えられる場となっています。美容師という枠にとらわれず、自分の強みを活かして、サロンの新しい可能性を広げていきたいんです。
これからも、自分だからこその視点で、新しい価値を生み出しながら、会社やスタッフの成長に貢献していきたいです。

―闘病やこれまでの経験を経て、これからどんな存在でありたいと考えていますか?
これまでは美容師として、髪を通じて目の前のお客さまを直接的に幸せにすることが仕事でした。でも今は、発信などを通してより多くの人にハッピーを届けられる存在になりたいと考えています。
病気を経験したことで、外見も大きく変わりました。胸を失い、髪もすべて抜け、肌の状態も大きく揺らいで、自信を持てない時期も。それでも、その状態を隠さず発信してきたからこそ、「自分も前に進めるかもしれない」と感じてくれる人がいるのではないかと思っています。
今は、そこを乗り越えた自分として、さらにその先へ進みたい。たとえ完璧じゃなくても、またおしゃれを楽しんだり、自分らしく輝いたりできる姿を見てもらうことで、誰かの勇気や希望につながれば嬉しいです。

―最後にキャリアに悩む美容師さんに応援をお願いします。
悩んでいるという状態は、決して悪いことではありません。むしろ新しい自分に出会うためのきっかけなのかも。今の自分に満足していないからこそ、その気持ちを、前向きな原動力に変えてほしい。そして周りの声や常識に流されるのではなく、自分が本当にやりたかったことは何か、自分自身と向き合ってほしいです。
自分の強みや、自分にしかできないことが見えてきたら、あとはそれを信じて進んでいくだけ。時間がかかるかもしれないし、すぐ結果が出るかもしれない。それは人それぞれですが、自分という軸さえブレなければ、きっとその先には望んでいた未来が待っていると思います。
そして、マイナスな出来事があったとしても、マイナスのままで終わらせないでほしい。失敗も、成功するまでやり続ければ経験になります。これまで私自身が救われたと感じた言葉や環境の中には、直接的ではなくても、必ずその先を生きていく上でのヒントがありました。皆さんもそのヒントを見逃さずに、自分の可能性を信じて進んでいってほしいです。

- プロフィール
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AFLOAT取締役
中川恵理
新卒で同社に入社し、アシスタント時代から撮影やメイクを経験し現場力を磨く。スタイリストデビュー後は外部ヘアメイクや撮影現場にも活躍の場を広げ、SNS発信を起点に売上を大きく伸ばす。がんの闘病を経て約1年半の休養を経験。復帰後は働き方を見直しながら美容師として再始動。現在はサロンワークに加え、AIを活用した集客・ブランディングやスタッフ育成など組織づくりにも携わる。
Instagram: @afloat_nakagawa1009
(文/池谷美歩 撮影/菊池麻美)