デビューから2年で、ADITION渋谷店代表に。トップスピードでキャリアを築く、室優菜さんのマインドセットとは

自身をアイコンにしたブランディングとデザインカラーを武器に、SNS総フォロワー30万人超えを誇る美容師、室優菜(むろゆうな)さん。
そんな室さんが、ADITION(アディション)でのスタイリストデビューからわずか2年で、渋谷店の店舗代表に就任しました。デビューから半年スパンで昇格を重ね、カミカリスマを受賞し、弱冠25歳にして店舗を任されるという順風満帆なキャリア。しかし、その裏側には、人知れず悩み続けてきた日々がありました。
苦手だと自認する教育と向き合った日々や、役職に就くことへの不安。同世代の中で頭ひとつ抜けた存在になれた理由は? 圧倒的な実績を生み出すマインドセットと、25歳である今抱えている等身大のリアルな悩み、その両面から室さんに迫ります。
与えられた結果ではなく、食らいついてきたから今がある

─渋谷店代表就任、おめでとうございます。このスピード感でキャリアを築けた理由は?
正直、出世欲みたいなものはあまりないタイプなんです。それでもこうして駆け抜けてこられたのは、先を走る大石やいさなから常に次のステップを提示してもらって、それに必死に食らいつき、応えてきた結果かなと思いますね。スタイリストデビューから半年でトップスタイリストになって、その9カ月後にはディレクター、さらに7カ月で店舗代表…。我ながら、本当にノンストップで走ってきたなと思います。
これまで任せてもらった役職の中で、自分から「なりたいです!」と進言したのはトップスタイリストだけ。それ以外は、「じゃあ、次は代表やな」みたいな感じで、打診というよりは決定事項として私のところに降りてきたものばかりでした(笑)。
ただ、それは無茶ぶりされているということではなくて。ADITIONは若手中心のサロンで、私の一個上がもういさな。あとはオーナーの大石と、創立メンバーが二人いるだけで、平均年齢も24歳くらいなんですよね。その中で、人の上に立てるスタッフをしっかり見極めて、選んでくださっているのは感じます。

人の上に立つのって、やっぱり素質がいるじゃないですか。優しければいいってものでもないし、仕事ができればいいわけでもない。私に関しては、もともと思ったことをハッキリ言うタイプですし、サロンのことを考えて動く姿などを評価して、育ててくださったのかなと思いますね。
─肩書きが変わるにつれて、仕事内容にも変化はありましたか?
ほとんど変わっていない…というと極端かもしれませんが、大きな変化はないかも。トップスタイリストに上がった頃から、いさなが店舗にいない日は「全部ムロに任せた。なんかあったらムロの責任な」と言われていたし(笑)、自分でもその自覚を持って働いていたんですよ。今振り返れば、その頃から組織をまとめる人間としての意識を育てられていたのかなと感じますね。
その状態に不満はなかったし、役職がつくことでより頑張れる!というタイプでもないので、上にあがりたいと言う思いはありませんでした。ただ、名前がついている方がいいことってあるじゃないですか。責任の所在がはっきりするし、私の言葉に説得力も生まれる。そういう事情と、私自身の努力への評価という意味も含め、 “ディレクター”と、その後の“代表”という肩書きをもらったのかなと思います。
「二度と後輩の前で泣くな」と言われた日から、涙を飲み込む理由ができた

─出世欲があまりない室さんは、役職を提示された時どんな気持ちだったんですか?
ディレクター昇格を聞かされた私の第一声は「マジですか!? 絶対無理ですよ、私!」でした(笑)。でも周りの後輩たちも喜んでくれているし、全幅の信頼を置いているいさなと大石が「ムロはできる」と言ってくれるなら、やるしかないか…と、腹を括りましたね。
いさなから、技術以外のことに関する指導が始まったのもその頃でした。技術に関しては「ムロらしくやっていけばいいよ」という感じでわりと放任主義だったのですが、マインドセットに関してはもう、本当〜に細かかったし厳しかった(笑)。
後輩への接し方や言葉選び、伝え方、仕事への向き合い方。ミーティングや食事の場、帰り道などで何度も何度も話してくださったし、いさなは私以上に忙しいのに、時間もすごく使ってもらって…本当にありがたかったなと思います。

中でも忘れられないのは、「二度と後輩がいる前で泣くな」と言われたことです。私は、ミーティングなどで思っていることを伝えようとすると、感情が溢れて涙が先に出てしまうタイプだったんですよ。でも、ディレクターになってからいさなに「泣いてる先輩に誰がついていくの?」と諭されて…。確かにその通りだなと思って、そこからは一度も泣いていません。一度約束したことは、きっちり守れるタイプなんです(笑)。
それから、自分自身の考え方、スタッフとの接し方もかなり変わりました。ディレクターに就任したことで、今までとは明確に立場が変わった感覚があって、ある程度の威厳が必要だなと思うようになったんです。なんでも話せる上司ではありたいけど、仲良く楽しく過ごして、慕われているだけではダメだなと。
なんというか、いざ一番上の立場になってみたら、思っている以上に後輩との距離感が近かったんですよね。私は本気で伝えていることなのに「室さん、まあまあ」と笑って流されたり、厳しいことを言った時に後輩が不機嫌になってしまったり。同じ目線の先輩後輩ならそれでも成り立つかもしれないけど、責任者になる以上、最終的に納得させられるだけの説得力と威厳が必要になるじゃないですか。当時の自分にはそれが足りていなかった。早く頭ひとつ抜けなければ、という使命感がありました。

─年齢が近いからこその悩みですね。威厳を出す、と一口に言っても難しいと思うのですが、どんなことを意識していましたか?
本当に難しかったです。叱ればいいってものじゃないし、怖くすればいいってものでもない。私が意識したのは、自分の悩みや考えを必要以上に共有しないことです。
それこそ、「泣くな」と言われた話に通じるところもありますが、悩みがあっても自分の中でちゃんと答えを出して、クヨクヨしているところは絶対に見せず、なにがあっても平常心を保つようにしていました。安定感がある方が、上司として信頼できるかなと思って。あとは、本当にちょっとしたことですが「今日眠い」とか、小さい愚痴をこぼさないことも気をつけていましたね。
些細なことの積み重ねですが、続けていくうちに、スタッフの私への接し方が少しずつ変わっていきました。頼み事をした時の返事だったり、話す時の視線、頼ってくれる時の一言目が「室さん、今いいですか?」になったり。尊敬の念を持ってもらえるようになったことが実感できて、やってきたことは間違っていなかったのかな、と思えました。

─代表を任されたときは、どんな心境でしたか?
ディレクターとして働いた期間で「自分は、ADITIONを引っ張っていく人間なんだ」という自覚を持てていたので、素直に「わかりました、任せてください」と答えました。ディレクターから代表になって変わったことと言えば、月に1回、大石といさなと新宿店の代表と私の4人で幹部ミーティングをするようになったことくらい。
店舗売上などの話はもちろんですが、私は現場に一番近い立場なので、スタッフの様子や現場の声を上に伝えて、逆に、大石やいさなの考えを聞いて下に落としていく、仲介役のようなことをしています。
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