“深さ”を追求し続けることで、自分だけの美容をつくる―hodos 山下純平のびよう道

“深さ”に潜ることでしか、見えないものがある

 

 

一方で、自分は大学時代からカルチャーに興味がありました。特に美容師になると決めてからは、音楽、クラブカルチャー、ファッションなどにグッと思考が寄った感覚があります。

ファッションにしてもマスを追うのではなく、アンダーグラウンドにフォーカスしてみる。自分が着るかどうかはともかく、「誰が、どんな思想でつくっているのか」を掘ることに興味があったんです。

 

そうしていろいろなものを深く掘り続ける中で感じたのが、「深さ」の重要性です。

今は情報があふれていて、広く浅く知識を得ることは簡単になりました。ただ、その分だけ、無意識に誰かの真似をしてしまっていたり、手前の認識で物事が進んでいるケースも多いんじゃないかと若干寂しさを感じます。

ダンサーや写真家の友人と話していても、「重みがない」という言葉がよく出ます。それは技術の問題だけではなく、どれだけ色々なものに時間をかけて向き合ってきたかという部分に現れるものだと思います。

 

自分が何に興味を持って、何を見て、そこから何を考えてきたのか。そういう積み重ねが、自分の視点になり、最終的には表現の「重み」につながっていく。だからこそ、これからも一つひとつのものを表面的に消費するのではなく、できるだけ深く掘っていきたいと思っています。

 

“選ばれる理由”をつくる

 

 

接客について見つめ直すきっかけとなったのは、環境の変化でした。スタイリストになって間もない時期に、新規サロンのオープニングスタッフとして参加したところ、思いの外、多くのお客さまを担当することになったんです。

 

当時、多くのサロンでは「きれいに切る」「早く仕上げる」といった技術面が重要視されていました。もちろんそれも大切ですが、自分が武器にしたのは、アシスタント時代に先輩たちと培ってきたデザイン力と、「またこの人にお願いしたい」と思ってもらえる接客でした。

 

接客は、正解が見えにくい。だからこそ、日常の中でヒントを探していました。アパレルの接客や、通いたくなる古着屋さん、こだわりのパン屋さんなど、さまざまなお店に通いました。少しドライなのに、なぜかまた行きたくなる店。多くを語らなくても、その人の世界観に惹かれてしまう接客。「この人に会いに行きたい」と思わせるものは何なのかを考えていました。

 

 

そこで気づいたのが、失客を怖がるよりも、自分らしさを出して、相性のいいお客さまに選んでもらうことの大切さです。再来してくださったお客さまには、「なぜまた来てくれたんですか?」と直接聞くようにもしました。そこでいただいた言葉を、自分では気づいていなかった強みとして捉え直していったんです。

 

一方で、スタイリストになってからは、誰からも何も言われなくなる怖さも感じていました。アシスタントの頃は先輩が指摘してくれますが、スタイリストになれば、自分から聞かなければ改善点すら見えなくなる。だからこそ、積極的に先輩に意見を求め、自分の接客や技術を見直し続けました。

 

そうやって、自分の強みを探しながら改善を重ねていくうちに、少しずつ「またお願いしたい」と言ってくださるお客さまが増えていきました。

結果として、デビューから1〜2年で売上150万円、2年目には月300万円を達成しました。ただ、目指していたのは数字ではありません。「この人をもっと素敵にしたい」という気持ちを軸に、自分から提案できる美容師であり続けること。それが結果につながっていったのだと思います。

 

>壁にぶつかっても、今できることは何かを考える

 

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