中森明菜・松田聖子!!昭和ヘアはなぜ今の時代にハマるのか? 50年目のベテラン美容師・小野田光伸さんの技と昭和カルチャー
限られた時間で、心をつかむ。昭和アイドル現場のリアル

―歌手や女優のヘアも担当されていたそうですが、そのきっかけは?
芸能系の仕事のきっかけは着物のショーでした。当時は着物のショーが結構あったんですが、そのモデルが歌手だったり女優さんだったりしたんですよ。中森明菜さん、松田聖子さん、三原順子さんを始め、多くの芸能人のヘアを担当しました。それがきっかけでアイドルの専属ヘアをしたり、アーティストのジャケット撮影をしたり。いろいろな仕事がありましたね。
―歌手やアイドルの方はこだわりも強いかと思いますがどんな現場でしたか?
芸能系の仕事は基本的に時間との勝負なんですよ。ヘアメイクの時間はそんなに長く取られてなくて。本人たちも確認やリハーサルに早く行きたいですしね。現場は初対面のこともあるので、短時間で好みや要望をキャッチして、素早くセットする技術と汲み取り力が必要でした。お任せということもありましたけど、勝手にやるわけにはいかないので、最初に下地のカーラーを巻きながら要望を聞いて仕上げていくとかね。
―緊張したりはしなかったですか?
それこそ中森明菜さんとか、有名な方を担当した時は緊張しましたよ。でも彼女たちもまだ17、8歳とかですからね。手が震えるほど緊張ということはないですよ。仕事は手早く、平静を装ってやっていましたけど、ワクワク感はありましたね(笑)。
時代や国を越えて刺さる理由。昭和ヘアが令和で再燃するワケ
―その頃の中森明菜さんや松田聖子さんを象徴する、いわゆる昭和ヘアになりたいというオーダーが今また増えているということですが、その理由は?
今年がちょうど昭和100年の年なんですよね。それで数年前から世間も昭和を振り返ってみようという感じになってきました。マスコミもいろいろ昭和のことを取り上げたりして。ネットでも昔の映像が掘り出されて拡散されている。そうなるとね、やっぱり可愛いものって可愛いんですよ。流行って一旦古くなるけど、またリバイバルしてきたりするじゃないですか。当時のヘアが、令和の若い子たちとちょうど周波数が合ったんでしょうね。
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聖子ちゃんヘアのお客さま
―昭和ヘアを求めてサロンにくる方はどんな方なのでしょうか?
一番多いのは20代のお客さまですね。メディアやSNSで昭和カルチャーをキャッチして、ファッションやヘアも昭和にしてみたいという方が多いです。あとは当時まさに昭和ヘアを楽しんでいた、50代、60代のお客さまもいらっしゃいます。先日は中学生のお客さまが島根からおばあちゃんと一緒に来てくれました。Instagramでうちの投稿を見てくれたそうで、SNSの力はすごいですね。

中国の人気インフルエンサーも昭和ヘアを楽しみに来店。
―SNSを始めたきっかけは娘さんだそうですね?
そうですね。うちの娘も美容師で一緒に働いているんですけど、「TikTokでお父さんの技術を投稿したらおもしろいんじゃないか」って。初めは昔の美容師の技術とか道具とかを紹介していました。その流れで、ウィッグで聖子ちゃんカットをする動画を載せてみたんです。そうしたらそれを見た10代のお客さまが「明菜ちゃんカットをして欲しい」と言って来店されて。聖子ちゃんカットができるなら明菜ちゃんカットもできるはずと思ったんでしょうね。その施術の様子を投稿したところバズって、昭和ヘアをしたいというお客さまがいらっしゃるようになりました。その中でも、大胆なイメチェンをするお客さまに動画を撮らせてもらって投稿していたら、中には550万再生されたものも出てきて。そこからどんどんお客さまが増えていきましたね。

―皆さんは昭和ヘアでどんな楽しみ方をされているのでしょうか?
昭和ヘアをされるお客さまは、ファッションやメイクもそれに合わせていらっしゃることが多いですね。施術後はお店の前で撮影をされたりして。中にはそのままレトロ喫茶とか、昭和っぽい街並みのある場所にでかけていったりする方もいらっしゃいます。思い思いに昭和のスタイルを楽しんでくれています。
―海外からのお客さんも多いとか?
中国、台湾、韓国のインフルエンサーや、アメリカやオーストラリア、あとはサウジアラビアの方もいらっしゃいましたね。面白いのは中国、台湾、韓国の方の多くは、聖子ちゃんとか明菜ちゃんとかを認識していらっしゃるんですよ。でもアメリカやサウジアラビアの方は単純にヘアスタイルの可愛さで来てくれている方が多いですね。