【カットの匠・枝村仁】技術教育を追求し、大型スタジオも設立。オンラインサロンは1年で1100人超え!47都道府県ツアーも絶好調

 

黒木利光(シャウルデッサン代表)との出会いがターニングポイント

 

 

30歳になった頃には教育を全面的に任せてもらっていたので、人によって伝え方を変えるという教え方の技術は身についていたように思います。例えば、頭で考えるタイプの子は言葉で伝えたほうがいいですし、ボディモーションや絵で見せないと頭に入らない子もいたりします。教えるということの奥深さも面白くて、その頃には「カットを教えたい」というキャリアの方向性が自分の中で定まっていました。

 

それから3年後に独立しましたが、気持ち的には“やり尽くした感”が強かったですね。自分の力だけでどれくらいできるのか、次はそこに挑戦しようと思いましたし、セミナーにもっと力を入れたくて。自由に動きたかったので、埼玉・越谷で姉夫婦が経営する美容室に入り、月15日はサロンワーク、あとは外部の仕事という感じで働き始めました。

 

 

忘れもしない2020年の2月、埼玉に黒木利光さん(CHARLES DESSIN代表)をセミナー講師としてお招きしたことがあったんです。彼を紹介してくれたのが、あの小松敦さんなんですよ。実は、前職時代に参加したヘアコンテストで小松さんの賞を僕が受賞して、そこからセミナー運営に携わるようになって黒木さんとの交流が続いていたんですよね。セミナーの打ち上げの時、黒木さんから言われたのが、「仁くんは、もっとやったほうがいいよ」と。自分は頑張ってるつもりだったんですけど、もっとやれるんだということに気付かされたんですよね。

 

というのも、当時のインスタのフォロワーはまだ1000人ほど。「半年で1万人いきます」とその場で宣言し、そこから技術動画を惜しみなく投稿し始めて、本当に半年で1万人を実現できたんです。ちょうど新型コロナの真っ只中でしたし、黒木さんとの出会いは僕にとって本当に大きなターニングポイントだったと思いますね。コロナ禍で結成した美容師のスペシャリスト集団『ヤベンジャーズ』に参加できたのもそうですけど、活動の幅がすごく広がりました。

 

 

 

コロナ禍でオンラインサロンを開始。デザインの8割を最短距離で伝授

 

2020年は、それまで年間60本やっていたセミナーがなくなりそうだったので、焦りましたよね。いろいろと調べて、zoomでセミナーができるという情報を見つけたんです。それで、すぐにビデオカメラを買いました。もともとパソコンは得意だったので、さっそくやってみようということで、インスタで告知してzoomセミナーを開催しました。初めてで料金設定もよくわからなくて、1000円にしたら20人くらい見てくれて。これを毎週やったら自分のカット技術を撮れるし、喜んでもらえるなら続けようかなと思ったんですよね。でも、毎回1000円で月4回払うなら、月額3000円で4回見れるほうが喜ばれるかな?と。それでオンラインサロンを始めることにしました。

 

 

ニーズは絶対にあると思っていたんです。フリーランスが増えていましたし、彼らは勉強する場所がないと思うんですね。実際、オンラインサロンはフリーランスの人が多いんですよ。今は、レディース、メンズのカット技術のオンラインサロンをそれぞれやっていて、あとは吉田牧人(Lond代表)と高安亮介(freera代表)と一緒に「お金の教室」というオンラインサロンもやっています。マネーリテラシーを高めるために、毎月ゲストを呼んで情報を発信していて。フリーランス、正規雇用などの働き方の違いによって変わる税金の話だったり、店舗展開するときの経営の話をしたりとか。ありがたいことに、今は全てのオンラインサロンの登録者を合わせると1100人以上います。

 

カットを教えるときに注力しているのは、デザインの8割を最短距離で作れるようにすること。デザインの幅を広げられるようにならないと意味がないので、僕は黄金対比の型では教えないです。フォルムコントロールとか、フォルムのバランスについて教えたいので、例えばボブだったら前髪がない状態で教えて、前髪のデザインは自分でイメージしてもらうようにしています。つまり、プラモデルを与えるのではなく、レゴのパーツを与えているというイメージですね。好きなように作れるようになることが、カット技術には大事だと思っています。

 

残りの2割は、目の前のお客さまと対峙しないとわからないんですよね。普段どんなケアをしているのか、癖が気になっているのか、アイロンを使っているのかなど、直接聞く必要がありますから。僕はよく「ハサミはコミュニケーションツール」と言うんですけど、デザインを作っていく上で、ハサミを通してコミュニケーションを取らないとお客さまのご要望を叶えることはできません。お客さまがご自宅に帰って、家族や友達から褒められているシーンを想像し、そこに喜べることに価値が生まれるなと思っていて。そこを理解して切っているというのが大事なので、僕はプロセスを重要視しています。

 

 

>マルチに使える30坪のスタジオを保有。教育者を育成して業界の底上げを

 

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