40代、家族とともに未知の世界へ。岩屋真さんがアムステルダムで始めた新たな挑戦

世界に出て、自分の価値を確かめる

 

 

―今年8月に発足したGlobal Hair Collective(グローバル ヘア コレクティブ 以下GHC)に参加されることになったそうですが、Global Hair Collectiveはどんな組織なんでしょうか?

 

もともとは、元TONI&GUYのロンドンアカデミーのマネージャーで、国際的なエデュケーターでもあるダニエレ・デ・アンジェリスが立ち上げたものです。世界で活動している、実績のあるエデュケーターが集まっていて、そこからいろいろなサロンやアカデミー、ブランドなどとつながっていく、教育のネットワークみたいなものですね。

 

これまでの美容教育って、アカデミーなどの組織が中心だったと思うんです。でも、今は業界の形も変わってきていて、もっといろいろなニーズに合わせて教育の形を作れるんじゃないか、というのがGHCの考え方です。

 

例えば、カラーやカットのエキスパートがサロンに行って教育をしたり、そのチームに合わせた研修をつくったり、海外でセミナーやイベントをしたり。技術だけじゃなくて、サイコロジストなど、ヒューマンスキルの部分を専門家から学ぶこともできます。

 

サロン側からすると、「海外のエデュケーターに来てもらいたい」とか、「自分たちのチームに合った教育を受けたい」というときに、GHCのネットワークから適した人を見つけてもらえる。僕たちエデュケーター側も、GHCから教育の機会をもらうだけじゃなくて、自分に依頼があったときにGHCのネットワークを使うことができるんです。

 

例えば、僕に「カラーを教えてほしい」という依頼に加えて「ショーのバックステージについても知りたい」と要望された場合。僕一人ではカバーできなくても、GHCには、各分野のエキスパートがいる。だったら、そのエキスパートと共に教えればいい。そうやって、一人ではできなかった教育を、チームとして広げていけるんです。

 

 

―今回岩屋さんはGlobal Educator・Head of Experimental Colour(グローバルエデュケーター・ヘッド オブ エクスペリメンタル カラー)として参加するということですが、その経緯や担う役割についても教えてください。

 

日本を出る前にダニエレから連絡があって、GHCの構想を聞いていました。ダニエレとはTONI&GUY時代にロンドンで何度か会ったことがあったのと、LIVE FASHION HAIR AWARDS(世界的美容コンテスト。2024年に岩屋さんが日本人で初めてCreative Colourist of the Yearを受賞)の表彰式でたまたま会ってランチをしたこともありました。でも彼は世界の美容教育のトップオブトップ。まさか声をかけてもらえるとは思っていなくて驚きました。

 

GHCには、組織を展開するディレクターや教育を行うエデュケーターがいます。その中でも、世界中で教育を行うことができるのがグローバルエデュケーターです。さらにカット、やカラーなどカテゴリーごとに全責任を負うヘッドオブ○○という人が選出されます。

僕はヘッド オブ エクスペリメンタル カラーでカラー部門の責任者ということになります。エクスペリメンタルの名の通り、教育と共に、技術やクリエイティブを追求する役割も担っています。

世界で活動するエデュケーターとして声をかけてもらったことはうれしかったです。ただ、自分ではまだ「世界レベル」とは言えないと思っています。これまで日本を拠点に活動してきたので、自分が世界でどれくらい通用するのかは、正直まだ分からない。賞を取ったからそれでいいわけでもないし、サロンワークも含めて、これから実際に世界で活動してみて、自分の価値を確かめていきたいですね。

 

 

―さまざまな国のエデュケーターが参加していますがどんな交流がありますか?

 

たとえば、アジア方面で活動しているディーラーさんやブランドと、ダニエレをつなげて、そこからどんなことを一緒にできるか、という話をすることもあります。ベルギーのカントリーディレクターとも、「一緒に何ができるだろう」と話し合っているところです。

 

テクニカルチームの中では「GHCという組織のファンデーション」について議論することも。技術のベースをどう捉えるのか、何を基礎として教えるのか。キャリアの違いで、それぞれの考え方が出るんですよね。

 

同じ美容の教育でも、国や地域によって考え方が違うし、いろんな視点がある。そういう違いに触れること自体がすごく勉強になります。

 

 

―そうした海外のエデュケーターとの交流を通して、日本の美容教育について考えることもありますか?

 

そうですね。今僕が今日本に一番必要だと思うのは教育者の育成です。掘り下げると義務教育からの話になってしまうけれど、日本の教育は、みんなと同じように平均化する方向が強いので、そこは他の国と視点が違う。でも教育者になるには、みんなと同じ答えを出すこととは違う視点が必要になります。そこがすごく難しいところだと思っています。まず教育をする前に教育者としての育成をしないといけないんですよね。

 

―GHCでの活動を通して、これからどんなことを実現していきたいですか?

 

まずは、日本で培ってきた経験を生かして、海外で自分に何ができるのかを知りたいと思っています。日本でやってきたからこそ貢献できることもあるはずだし、海外に出たことで新たに身につけられることもある。その両方を通して、自分にできることを広げていきたいですね。

 

>日本で培ったものを、世界へ

 

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