【大工から美容師へ】10分カット王者が登場!「やるからにはトップを」今野将貴が最速級のキャリアを築き、フリーランスを経て5人で「LUKCY」を立ち上げた理由
キャリアをリセット。「自分にしかできないこと」を探した
――そこまで順調に進んでいたのに、サロンを離れた理由は?
一つは、「僕じゃなくても、優秀な人はたくさんいる」と思ったことです。僕がサロンを抜けても次の人がいる。ポストも次の人が待っている。一方で、自分がやりたい仕組みや、自分にしかできないことは、今の自分だからこそできる。それなら、そこに挑戦するために、一度環境を変えてみようと思ったんです。それまで築いてきたものを一度全部手放して、ゼロに戻りました。フリーランスになったんです。
原宿のサロンでフリーランスとして働きながら、いろんな美容師さんと出会いました。その間に、SNSや技術だけじゃなく、教育や仕組みづくりも見直し、それまでとは違う考え方や手法にも触れて、かなり柔軟になれたと思います。「一つのやり方だけが正解じゃない」と知れたのは、すごく大きかったですね。

「自由」だけでは、続ける理由がなくなる。2年間のフリーランスで見えたこと
――フリーランスを2年間経験したからこそ、今のLUKCYにつながったんですね。
もちろん、フリーランスはいいですよ。還元率も自由度も高い。でも、ずっとやっていると、「みんなで何かをつくる」という感覚がなくなってくるんですよね。ある程度ルールがあって、その中でみんなで頑張る。そういう環境のほうが、人はやりがいを感じるんじゃないかと思うようになりました。
自由であることが、必ずしも楽しいわけではない。自分が社会のために何かをしているとか、誰かのためになっていると思えると、楽しさが倍増します。サロンだったら、「今日すごかったね」「俺も頑張ろう」と刺激し合える。そこはすごく大きいと思いました。僕自身がフリーランスを経験したからこそ、今必要なものが見えたんです。
元同僚5人で「LUKCY」。一人ではなく、5人でトップを目指す
――そして2026年7月、5人でLUKCYをスタートしました。
この5人は前のサロン時代からの同期です。美容師歴も同じで、年齢は僕より3歳下。もともと仲が良かったかというと、実はめちゃくちゃ喧嘩もしました(笑)。口をきかない時期もあった。でも、結局みんな同じ方向を向いて頑張っていたんですよね。僕が何か強いことを言っても、相手も自分の軸を持って返してくる。それがいいんです。その人を尊敬できるし、「自分にはないものを持っている」と思える。
僕はいろんな美容師さんと交流がありますけど、この5人で話しているときが一番、素の自分で成長について話している感じがする。だから「結局、この5人なんだな」と思いました。一人でトップを目指すより、5人それぞれがトップとして走ったほうが強い。誰か一人に何かあっても、残りの4人がいる。5方向に走れる。それが僕らの強みだと思っています。
――LUKCYは「ルクシー」と読むんですよね。
そうです(笑)。「ラッキー」ではないです(笑)。僕ら5人が大切にしたい言葉を組み合わせて、夜中の3時くらいに「これでいこう」と決めたんですけど、完成したあとに「待って、これラッキーって読むんじゃね?」となって(笑)。でも、もうルクシーです。

「この人に切ってもらいたい」をつくる。10分カットで改めて感じた美容師の価値
――ところで10分カットオーディションでは、技術だけでなく、1分間のプレゼンテーションもありましたよね。
あれも練習しました。でも、コンテストのためだけにやっていたわけではないんです。僕にとって技術が上手いのは、ある意味で当たり前。それよりも、「どうしたらお客さまにもっと満足してもらえるか」のほうが大事だと思っています。言葉だったり、空間だったり。
「なぜこの技術をするのか」「この人にとって何がいいのか」を常に考える。お客さまと接する時間が短くても、「この人じゃなきゃ」と思ってもらうためには、技術だけでは足りない。「この人に切ってもらいたい」と感じてもらう必要があります。だから、オーディションでのプレゼンも、普段お客さまにやっていることを、そのままやった感覚です。

9月7日の10分カットオーディションに参加した今野さん
――改めて、10分という時間で競ったことで見えたことはありますか?
10分って、めちゃくちゃ短いんですよ。だからこそ、普段自分が無意識にやっていることが全部出る。そして一つ一つの判断に理由がある。普段の営業だったら、多少迷っても時間があります。でも10分だと、迷っている時間もない。だから、自分の技術だけじゃなくて、判断力や準備してきたことまで全部出る。そういう意味では、自分にとってもすごくいい経験でした。

たくさんのカメラにとり囲まれる中、堂々とプレゼン
ピッチャー時代の経験が、今の挑戦にもつながっている
――その考え方は、野球の経験ともつながっているのでしょうか?
あると思います。ピッチャーって、1球にチームの命を託すようなところがあるじゃないですか。プレッシャーはあります。でも僕は、その1球でチームを変えられるかもしれない、という方を見ていたんです。できなかったら、また練習すればいい。僕はそっちを見るタイプなんですよね。

「サロンだからできること」と「フリーランスの自由」を掛け合わせる
――LUKCYでは、今後どんな場所を目指していきたいですか?
僕らがやりたいのは、サロンの良さとフリーランスの良さを掛け合わせることです。フリーランスには自由度や還元率という魅力がある。一方で、サロンには教育やチーム、ブランドをみんなでつくる環境がある。その両方を取り入れたいと思っているんです。特に、フリーランスを経験した美容師が、もう一度チームで働くという選択肢をつくりたい。フリーランスになった理由には、会社に対する不満など、いろんな背景があると思います。だからこそ、その経験をした人が「もう一度チームプレーにチャレンジしてみたい」と思えるような仕組みにしたいんです。

――最後に、これからどんな美容師を目指していきたいですか?
やっぱり、やるからにはずっと勝ち続けたいです。今回、初めてコンテストに出て優勝しましたけど、僕の中では「優勝したから終わり」じゃない。むしろ、ここからだと思っています。
10分カットで優勝したことも、これから先の挑戦につながる一つのきっかけです。LUKCYも始まったばかりですし、5人でトップを目指していきたい。そして、僕ら5人がトップとして走りながら、その先に続く人たちをどんどん生み出していきたいと思います。

- プロフィール
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今野将貴(こんのまさき) LUKCY代表
1996年、宮城県生まれ。高校卒業後、建設業に3年間従事。その後、仙台ヘアメイク専門学校へ進学し、主席で卒業。新卒でGARDENに入社する。アシスタント時代から営業時間外のモデル施術で月間売上150万円を達成。スタイリストデビュー後は3枠制で予約を受け付け、デビュー間もなく副店長に就任。その後、GARDEN史上最速で店舗責任者を務める。『肩から上はショートヘア』をテーマに、新しいトレンドをSNSで発信し、多くの支持を集める。2年間のフリーランス経験を経て、2026年7月、表参道に5人の仲間とともに「LUKCY」をオープン。現在は経営者兼トップデザイナーとして、SNSでの発信やトレンド提案にも力を注いでいる。
Instagram:@masaki.k_
(文/石田雅子 撮影/松林真幸 MIKAN inc)