ハサミを持たず”傾く(かぶく)”ことを貫く 唯一無二の世界レベルのカラーリストNOOS岩屋 真のコトダマ

「もうついていけません。結局自分が一番大事なんですね」

 

 

信頼関係が大事なのはお客さまだけではなく、スタッフも同じです。その信頼関係を築くのは言葉。言葉一つで簡単に信頼関係は崩れてしまいます。

 

僕は感情的に、強い口調でスタッフを叱るようなことはしませんが、否定するような言い方をしてしまい、スタッフが離れていった苦い経験もあります。「もうついていけません。結局自分が一番大事なんですね」と、今も耳に残るような、言葉をかけられたこともありました。

 

昔の美容業界は厳しく指導することが当たり前で、新人時代は怒られるのが仕事と言われることもあるほどでした。怒られた経験がある人はわかると思いますが、怒られたことは覚えているけれど、どうして怒られたか覚えていないものなんですよね。心のダメージだけが残って、内容は記憶に残らない。それが続くと、「どうしたら怒られないか」ばかり考えるようになり、一番大切なお客さまと、100%向き合うことができなくなる。そんな状態で、最高の仕事ができるわけがないですよね。

 

 

スタッフが離れていった苦い経験もあるし、自分自身が理不尽に怒られた経験があるので、言葉のチョイスにはかなり気を遣っています。厳しいことを伝えるときも、どうしたら嫌な思いをさせずに伝えられるか考える。自分のことを理解してもらいたいなら、まずは相手が何を考えているのか理解することから始める。そのためには言葉の引き出しが必要だから、僕はたくさんの本を読んで、良い言葉を仕入れるようにしているんですよ。

 

「今後もハサミを持たず”傾く(かぶく)”ことを貫いていきたい」

 

 

これはInstagramに書いた自分の覚悟です。僕は日本の色彩文化が好きで、日本古来の文化からも学びたいと思っています。

 

傾く(かぶく)という言葉は、漢字の通り傾く(かたむく)という言葉からきています。美容師をする上で、ハサミを置いてカラーリストを選んだ僕は、美容の世界の王道にはいません。だからこそ、カラーリストとして突き抜けていくしか、生きる道はないと思っています。覚悟を持って傾く(かぶく)ことを貫いていきたいと思います。

 

忘れたくない言葉を大切にしたいので、身体に刻んでいます。

 

プロフィール
『NOOS』代表/Executive Colourist

岩屋 真(いわや まこと)

ハサミを持たないカラー専門美容師(18年)

グレイヘアデザイン、ブリーチワーク、フォイルワーク、グラデーションカラー、デザインカラー、クリエイション…。カラーの全てを得意分野とする”超特化型”プレイヤー。2021年12月、17年間所属したTONI&GUYを卒業し、2022年4月【NOOS】を表参道エリアにオープン。サロンワークを原点とし、セミナー講師活動、オンラインサロン運営、業界誌掲載多数。技術、教育、サロンワーク、アートワークを武器に国内外で活動。

Instagram:@makoto_noos

 

 

(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)

 

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