なぜ落合健二は“ハイトーン時代”を先読みできたのか? 原宿で育てた「薬剤のものさし」とデザイン哲学
「感覚」と「計算」の間に、デザインカラーがある

――落合さんのデザインカラーって、本当に幅広いですよね。こだわりは?
感覚って言うとセンスみたいに聞こえるけど、実際は経験値の積み重ね。その人に何が似合うか、顔立ち、ファッション、空気感、ライフスタイルも含めて考えます。「この色にしたら、この人の魅力が出そうだな」っていう想像をするんです。だから、ある意味では“計算された感覚”かもしれません。
ただ派手にするだけなら簡単なんですよ。でも、テンションが上がるデザインって、少し違うと思うんです。鏡を見た瞬間に「なんかいい」って思えるバランス。その人が自分らしくいられるデザイン。僕にとってデザインカラーは、単に色を作る技術ではなくて、その人の個性や内面を表現するための手段なんですよね。
だから、今後もハイトーンを軸にしながら、時代に合わせて変化していくと思います。新しい技術も取り入れるし、違うカルチャーも見る。昔の特殊系の感覚を、今のデザインに落とし込むこともあるかもしれない。結局、自分は“人の気持ちが上がるデザイン”が好きなんですよね。

「発信しないと始まらない」——美容師の可能性を広げたい
――最後に、これからの美容師や美容学生へメッセージをお願いします。
美容師って、本当に可能性のある仕事だと思っています。技術を磨けば磨くほど、人の人生に関われます。しかも今は、サロンワークだけじゃない。発信もできるし、教育もできる。海外にも行ける。セミナーもできる。昔より、選択肢がすごく増えています。だからこそ、「自分には無理だ」と思わないでほしいと思いますね。

僕自身、最初から全部できたわけじゃないです。発信も、最初は得意じゃなかった。でも、続けていたら少しずつ景色が変わった。講師活動もそうです。Instagramで発信していたら、海外の美容師さんとのつながりができて、「韓国でセミナーやりませんか?」と声をかけてもらった。本当に、何がきっかけになるか分からない。だから、自分の強みを信じて続けてほしいです。
IENAの理念にもあるんですが、僕はずっと、「全ての人に可能性がある」
と思っています。お客さまにも、スタッフにも、美容学生にも。美容師という仕事を通して、その人の未来を少しでも明るくできたらいい。サロンワークも、デザインカラーも、教育も、発信も。これからも、人の可能性を広げられる美容師でありたいと思っています。

- プロフィール
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落合健二(おちあいけんじ)
IENA 代表
山野美容専門学校卒業後、原宿の特殊系ヘアサロンに入社。エクステ商材ショップを併設する恵まれた環境の中で、特殊技術を徹底的に学び、独自の感性を磨く。新卒入社からフリーランス期間を含め13年間在籍。その後、いち早くハイトーンカラーの可能性に着目し、デザインカラー分野へシフト。2021年、原宿に「IENA」をオープン。ハイトーンを軸にしたデザインカラーサロンとして注目を集める傍ら、国内外でセミナー講師を務め、日本のデザインカラーシーンを牽引している。
Instagram:@kenjikunn1
(文/石田雅子 撮影/宮崎洋)