今の時代、クリエイティブは美容師に必要か? DADA CuBiC古城隆・SCREEN神谷翼・LECO内田聡一郎が語る、コンテストへの本音-soucutsの庭Vol.4-
プロフェッショナルであるという軸をブラさない

内田:でもそれは、俺は、わざとやってると思ってるんですよ。なんでかっていうと、コンテスト自体を活性化させるというか、型を広げていくために、「これって、こうじゃないよね?」を問題提起している気がして。出てる人たちに、いい意味で悶々としたものを持ち帰ってもらうというか。ちょっとした宿題を渡してるような感覚というか。それを意図的にやってる印象があるんですよね。
古城:主催者側として言いづらいことって、どうしてもあると思うんですよ。
なので、僕が総評をさせてもらうときは、必ず一度「今日はどういうトーンがいいですか?」って確認するようにしていて。やわらかめがいいのか、はっきり伝えたほうがいいのか。
僕が控室とかで気になっていたのは、審査する美容師さんたちが一緒にいるじゃないですか。これ結構ギリギリの話(笑)。で、裏で結構、「なんかアレだよね…」とかみんな言ってるのに、ステージ上では、「本当にみんな素晴らしいです!」って。さっき違うって言ってたじゃん!みたいな(笑)。
っていうことを、僕は正直で、できなかったっていうだけなんですね。
内田:いいね、エンジンかかってきた(笑)。審査員に対する問題提起ってことですね。
古城:みんな、(言ってることが)ちょっと変わる時あるんだよなあ…。ズルいって思って(笑)でもみんながみんなね、「良かったですね、みなさん頑張りました」って、なんか面白くない。
内田:出る側というより、審査員に対するアンチテーゼから、あのムーブは始まったんだ。

古城:もうね、全てのことと戦ってるからね。自分に対してもそうだし、別に嫌われてもいいと思っているので。
内田:それだけやってきたっていう自負もあるし、「もっとプロとして向き合おうよ」っていうメッセージでもあるってことだよね。
古城:いやいや、偉そうなことは言えないけどね。まだまだ勉強中の身です。
内田:でもさ、翼くんも含めて、2人ってスタンスは違うけど、そこがすごく好きな部分でもあって。一緒にやらせてもらうと、自然と背筋が伸びるというか。
やっぱり、どんな時でも“プロフェッショナル”っていう軸がブレないじゃないですか。
古城:内田くんはね、結構マイルドだよねえ。コメントが。意外と空気読むし。
内田:いや、俺はもう完全にバランサーなんで(笑)。ただ、これだけはリスナーに誤解してほしくないんだけど、裏で悪く言ってるとかは、全然ないから!(笑)。
でも、最近よくあるじゃないですか。コンテストに出る人が減ってきてるっていう話。だからこそ、メーカーさんやディーラーさんも、できるだけハードルを下げて参加しやすくしようとしてると思うんですよね。
それ自体はすごく大事なことなんだけど、一方で、間口を広げることで、全体のレベルが下がってしまうリスクもあるんじゃないかっていう。
そういう部分に対して、2人はちゃんと危機感を持って見ている印象があって。そもそも「なんでコンテストに向かうのか」とか、「どういう姿勢で向き合うのか」みたいなところを、すごく大事にしてるじゃないですか。その辺りを、すごく冷静に見てる二人だなって感じてます。
間口を広げることと深みを出すこと

古城:今の話でいうと、ちょうど行きの新幹線で、まとめなきゃいけない文章があって、2時間くらいずっと考えてたんですよ。まさに今のテーマだなと思って。
これって、コンテストに限った話じゃなくて、サロンにも同じことが言えるなって感じていて。より優しく、働きやすく、合理的にしていくことで、クオリティが上がっているかというと、必ずしもそうとも言い切れない。結局、それが“当たり前”になっていくというか、デフォルトになっていくので。
そう考えると、サロンの環境づくりとコンテストって、共通している部分があるなと思いますね。
内田:「間口を広げること」、と「深みを出していくこと」が、反比例してくるってことだよね。でも古城くん的には、深みを重んじるというか、大事にしていきたい側じゃないですか。深いところに本質があることを、先代(DADA CuBiC創業者/故・植村隆博さん)からの流れから、伝えていく立場なのかなと思うんだけど。
古城:とはいえ、美容師にもいろんな活躍の仕方があるし、それぞれに役割があると思うんですよね。だから、何が正解で何が不正解、という話ではないと思っていて。
その中で、自分にできることとか、自分がやりたいことをちゃんと見極めて、大事にしながら判断していく。そこは常に意識している部分ですね。
内田:なるほどね。そういう意味で言うと、クリエイティブにチャレンジしている人って、自社も含めてたくさんいると思うんだけど。
さっきの話とも繋がるけど、コンテストとサロンワークをどう循環させていくかって、ここ数年ずっと言われているテーマじゃないですか。
ただ、そこに対して明確な答えみたいなものって、なかなか見えづらいし、迷っている人も多いと思うんですよね。そういう人たちに対して、どんな言葉をかけますか?

神谷:うちは、コンテストやクリエイティブを強制することはなくて。SCREENに入ってくる子たちは、もともとそういうのが好きな子が多いっていうのはあるんですけど。ちょっと話がズレるかもしれないんですけど、最近は若い子たちのストイックさが、逆に心配になることもあって。特にコンテストに取り組んでる子たちですね。
うちのスタッフもそうなんですけど、自分もかなりストイックにやってきたつもりなんですけど、それ以上というか、もっと真面目にストイックなんですよ。本当に朝までやってたり、休みの日もずっと取り組んでたり。
内田:翼くんが心配になるくらい。
神谷:「ちょっとやりすぎじゃない?」って思うくらいで。でも、正直言うと、僕は何でもいいと思っていて。何かに燃えていること、一生懸命になれるものがあることが大事だと思うんですよね。それがコンテストじゃなくてもいいし。
美容の中で、自分が燃えられる、そしてそれが、何か動きになるってことであれば。例えばうちのスタッフでも着付けをやっている子がいて、サロンワークもしながらですけど、それも一つのクリエイティブだと僕は思うし。コンテストはあくまでその一部でしかなくて、大事なのは何かに夢中になれるかどうかだと思うんです。
それって、一人だけではなかなかいい力にはならなくて、周りの仲間の力も必要になるし、そこからチームワークも生まれていく。だから、何でもいいから“きっかけ”になればいいのかなって思いますね。ちょっと曖昧な答えかもしれないですけど。