数字に基づいた采配で、売上を1.5倍に。美容室経営に求められる「先読み力」とは―CANAANの経営理論<後編>

トップダウンは生産効率が落ちる。スタッフが自ら判断できる環境が必要だ

 

 

大手サロンの教育担当の方が、土日に『CANAAN』を見学にくることがあります。そのとき、スタイリストからの指示がないのにアシスタントが各々で判断し、適切な行動をとっている姿にみなさん必ず驚くんです。これができるのは、特許申請中の独自のシステムがあり、スタッフがそれを徹底しているから。アシスタントが自ら予測を立てて動くことは、通常のサロンでは1年経っても身につくかどうかというスキルですが、『CANAAN』では2ヵ月でそれができるようになるのです。

 

トップダウンで押しつけるのでは、自分で判断できなくなり、生産効率が落ちてしまいます。僕は一人ひとりが自分で感じて動ける、本物の動く思考を作りたいんです。そのためには一人ひとりが生命体の細胞のように自分で判断し、行動できる環境が必要だと考えています。

 

美容業界は、その環境が作りやすいと思います。だって、サロンでは一人ひとりがお客さまと向き合い、話をして、問題点があれば行動していくことが必要不可欠ですから。

 

美容師一人がお客さまと向き合い、どれだけの人数を、どこまで深く喜ばせられるか。それは美容の本質でもあります。美容の本質をきちんと理解した美容師の集合体が、これからのサロンのあり方だと思います。その本質を全員がきちんと理解していれば、スタッフが細かい売上分析や勉強会なんかしなくても、目標は達成すると思いますよ。

 

プロフィール
CANAAN
長崎英広(ながさきひでひろ)

三重県出身。旭理美容専門学校通信課程卒。MINXセントラル店代表、MINX原宿店代表を経て社内独立し『CANAAN』をオープン。2017年には、MINXから完全独立。毎年国内外で数多くのセミナー活動を行い、受講者は年間1万人を超える。メーカーカラー剤開発の技術協力を行うなど、カラーでは国内トップの技術をもつ。著書には、髪書房の「ヘアカラー㊙︎レシピ」「新発想㊙︎グレイカラー」「45日後カラー逆算レシピ」、このほか著書には、女性モード社より「成功するヘアカラー」、「続•成功するヘアカラー」がある。

 

(取材・文/小沼理 撮影/河合信幸)

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