店のコピーは昭和のエロ本から着想? マニアなサロンが19年間支持されてきたワケ ―「夢屋」夢夢子さん

60年代“風”ではなく、当時のヘアをそのまま再現するのがこだわり

 

 

開店直後は、『カジカジ』に幸運にも掲載していただけました。知り合いから「『カジカジ』がニューオープンのサロンを紹介してくれるらしい」と聞き、写真や資料を送ってみたんです。そこからヘアカタログのページにもオファーがくるようになりました。

 

とはいえ、2〜3年は収入も安定しないのでバイトもしていました。スナック、ふぐ料理屋、あと当時キャバレーだった味園の「ユニバース」でも働かせていただきました。今となっては貴重な経験です。そういうお店や古着屋さんなどにショップカードを置いていただいたりして、だんだんとお店が周知されてきたように思います。

 

今も昔もお客さまは、やっぱり古着好きが多いです。最近ではそういうファッションをしていると「好きそうなサロンがあるよ」と、夢屋にきたことがない人からおすすめめされるんだそうです。紹介してくだった方は雑誌やネットを見て、気にはなってくださっていたみたいで。不思議な紹介のされ方がよくあります。

 

カットでこだわっているのはライン。動きの少ない重めのスタイルが多いので、クセを見極めながら、お客さま自身でも再現しやすいようにカットすることを心がけています。ロリータブームのときには、姫カットをご所望される方が多かったですね。やっぱりあのぱっつんラインを作るのは難しいみたいで、他のサロンではお断りされてしまうという話をよく聞きました。

 

そんな中でも一番オーダーが多いのは、夢屋の看板とも言えるマッシュルームカット。私が作るマッシュルームは昭和60〜70年代に忠実なフォルム。もちろん、それぞれのお客さまのお姿に合わせて作りますが、自分からは今っぽい要素、例えばセニングで軽さなどを出すことなどは提案しません。それは60年代“風”ではなく、そのものを作ることにこだわっているから。60〜70年代カルチャーに敬意を持っているからこそ、突き詰めたスタイルを作りたいんです。お客さまもそれを期待して私のところにきてくださっていると思います。

 

 

よく「当時のヘアをどのように再現するのですか?」と聞かれるのですが、ボブもマッシュルームも美容学校で習う、いわゆる“基本のカット”に近いんです。なので、基礎をしっかり身につけることが大事なのかなと思います。それに加えデザインは、当時のヘアスタイルについての書籍などを見て参考にすることもあります。

 

 

店内のインテリアも当時のものを使ったりして、世界観にもこだわっています。スタイリングに使っているホットカーラーも、あえて昔のものを使っているんです。一度コードが壊れてしまったのですが、電気屋さんに持っていったら直してくださって、今でも現役です。

 

夢屋で使われている60〜70年代に製造されたホットカーラー

 

>夢屋では親密な関係を築け、お客さまから秘密を告白されることもある?

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング