「まさか私が薄毛に…」50代女性編集者がヘナで変わった。20年のヘアカラー生活を経て見えた“髪と地肌をケアする”という新常識【美容師・メーカー徹底取材】
「昔のヘナ」のイメージが、今も壁になっている

色名はメープル。リコヘナのオリジナルブレンド
――ヘナに対してハードルを感じている美容師さんは、少なくないのでしょうか。
40年ほど前は、「ヘナ」として販売されていても、ジアミンなどの酸化染料が配合された製品も多かったようです。そのため、真っ黒に染まってしまったり、髪がゴワついたりと、あまり良い印象を持たれなかったんです。そのイメージが今も残っていて、「ヘナは扱いづらい」「仕上がりがよくない」といった先入観につながっているのだと思います。
さらに、美容学校でヘナについて学ぶ機会もほとんどありません。名前は知っていても、実際に触れたことがない、施術したことがないという美容師さんが本当に多いです。
ただ、現在は状況が変わっています。メーカーにもよりますが、天然100%のヘナを扱うメーカーが増え、商品には成分が明確に表示されています。短時間で濃く染まるものや、一度で黒く仕上がるものは、ジアミンなどの染料を配合しているケースがありますが、私たちがサロンで使用しているのは、植物だけでつくられた天然100%のヘナです。だからこそ、「昔のヘナ」のイメージだけで判断するのではなく、一度、今のヘナに触れてみてほしいですね。

美容師の視点で作られたヘナカラーブランド、リコヘナ
ヘナは「カラーの代替」ではない
――ヘナをサロンに導入しづらい理由は何だと思いますか。
皆さんは、ヘナをアルカリカラーの延長で考えてしまうんです。そうすると、「発色ならカラーのほうがいい」「時間がかかる」「セルフでされたら失客する」といった不安が出てきます。
でも、本来ヘナは白髪を染めるだけのものではありません。髪や頭皮を健やかに保ちながら、年齢を重ねていくための選択肢です。アルカリカラーと競合するものではなく、お客さまによって使い分けるメニューであって欲しいと考えています。

毛先用、根元用のレシピでヘナを用意。たっぷり使用するのがポイント。
――ヘナの放置時間は30分から40分とされています。これは、サロンワークではデメリットになりませんか。
そう思われがちですが、実は逆なんです。アルカリカラーは時間管理がシビアですが、ヘナは長く置いても問題ありません。むしろ、ヘナは頭皮に塗るのもいいし、時間を置くことでヘアケア効果もあります。
その間に別のお客さまを担当することもできますし、「塗ってそのまま帰宅していただく」という提案も増えています(※顧客側が上に被る帽子等を用意)。美容師さんからすると、高単価メニューとして成立しやすいんです。
コロリエでは、オリジナルブレンドのヘナ「リコヘナ」を業務用としてサロンへ卸すだけでなく、ホームケア用も展開し、セルフヘナも積極的に提案しています。サロンで施術する際は、お客さま一人ひとりの髪質や悩みに合わせて、数種類のハーブをブレンド。まとまり感を高めるもの、ハリ・コシを与えるもの、ツヤを引き出すものなど、それぞれの植物が持つ力を組み合わせることで、髪の状態に合わせた提案が可能です。
しいて言えば、ヘナの匂いが独特なので苦手な方もいらっしゃいます。ですがハーブを組み合わせて処方するとほとんど気にならなくなりますよ。
――ヘナをメニューに導入する美容師さんは、どんな方ですか?
多くはヘナの効果に魅了された美容師さんですが、なかには手荒れがきっかけでヘナに転向される人も少なくありません。カラー剤などの薬品が原因でアトピー性皮膚炎を発症し、一般的なサロンで働き続けることが難しくなった方でも、ヘナなら安心して施術を続けられる可能性があります。美容師という仕事を諦めなくていい選択肢になることもあるんです。

コロリエが運営する自然派漢方薬局ビオマート。リコヘナを購入可能
商品だけでは広がらない。必要なのは「教育」
――美容師さんに向けてのヘナ講習にも力を入れていますね?
はい。私たちは、商品を卸すだけではヘナは広がらないと考えています。「興味はあるけれど使い方が分からない」「仕入れたものの、結局使わずに終わってしまった」。そんな声も少なくありません。
だからこそ、業務用ヘナを導入していただく際には、技術だけでなく、ヘナの理論やカウンセリング、お客さまへの伝え方まで含めてお伝えしています。これまで10万人以上のお客さまと向き合ってきた経験をもとに、サロンワークで実践できる知識や技術を共有し、美容師さんが自信を持ってヘナを提案できる環境づくりを一緒に考えています。

髪質に合わせてバーブをブレンド。オリジナル処方のヘナカラーを提供
ヘナだけの世界をつくりたいわけではない
――最後に、美容師の皆さんへメッセージをお願いします。
私は、デザインカラーを否定したいわけではありません。お客さま一人ひとりの髪質やライフスタイルに合わせて、最適な方法を提案することが、美容師さんの役割だと思っています。その選択肢の一つとして、「ヘナという方法もありますよ」と伝えられる美容師さんが増えてくれたら嬉しいですね。
ヘアサロンにヘナというメニューが加わることで、お客さまは髪の未来まで見据えた選択ができるようになります。そして美容師さんにとっても、カラーだけでなく、髪と健康に長く寄り添う新たな価値を提供できるはずです。

色名はマロングラッセ。リコヘナのオリジナルブレンド

- プロフィール
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山本ちか
Colorier(コロリエ) 代表取締役
都内のヘアサロン勤務を経て、28歳で転職したサロンでヘナと出会う。施術を重ねる中で、ヘナによって髪質や頭皮環境が変化していく様子を実感し、その可能性に魅了される。2014年、32歳でヘナ専門サロン「コロリエ」をオープン。現在は表参道、代官山、横浜、福岡にも店舗展開し、オーダーメイドのヘナカラーやアーユルヴェーダヘッドマッサージなど、オーガニック素材にこだわった施術を提供。2017年にはオリジナルヘナブランド「リコヘナ」をスタート。卸・小売事業に加え、美容師向けセミナーや技術指導にも力を注いでいる。
コロリエ https://www.hennasalon-colorier.com/
Instagram:@colorier.henna