「まさか私が薄毛に…」50代女性編集者がヘナで変わった。20年のヘアカラー生活を経て見えた“髪と地肌をケアする”という新常識【美容師・メーカー徹底取材】

 

第3章

「ヘナのパワーで健康的な髪を育てる」メーカーが描く、ヘナの未来と美容師の新しい役割

 

インドのヘナ農場 写真提供:しむら

 

天然100%のヘナメーカー・シムカラーを率いる川崎雅代(かわさきまさよ)さん。実は川崎さんは、「天然美容家Mayo(マヨ)」という名でもヨガの指導者や、アーユルヴェーダ(インド発祥の伝統医療)の美容施術にも精通し、幅広く活躍しています。またハーブ、美容、健康を一つのライフスタイルとして提案する自然派化粧品ブランドも展開中。今回の取材では、現在のヘナ市場の課題から、美容師との関わり方、そして今後、目指す世界観まで、Mayoさんにたっぷり話を伺いました。

 

 

植物の力で、人も美容業界ももっと豊かになる

 

還暦を超えているとは思えないほど、ツヤとボリュームに満ちたMayoさんの髪にも注目

 

――Mayoさんの美しい黒髪を拝見すると、長年ヘナを続けてこられたことがよく分かります。

 

ありがとうございます。私は30年以上、3週間に一度のペースでセルフヘナを続けています。もう生活の一部ですね。

 

シムカラーとしてインド産天然100%のヘナを商品化したのは2013年です。当時、「本当に納得できるヘナを届けたい」という思いから、インド・ラジャスタン州ソジャットという世界有数のヘナの産地を訪れました。現地の畑を見て、生産者の方々と話をする中で、「これなら自信を持って届けられる」と確信できるヘナに出会ったんです。

 

 

ヘナは、植物にとって過酷な環境で育つほど力強く育つと言われています。ソジャットは砂漠地帯で、雨もわずかしか降りません。そんな厳しい自然環境の中で育ったヘナは、有効成分が凝縮され、品質も非常に高い。その葉だけを丁寧に収穫したものが、最高ランクのヘナになるんです。

 

 

 

――まるでトマトと同じですね。水をたっぷり与えるよりも、厳しい環境で育ったほうが甘みや旨みが凝縮すると言われます。

 

まさにそのイメージです。植物は厳しい環境を生き抜こうとすることで、本来持っている力をより発揮します。ヘナも同じで、環境が品質を大きく左右する植物なんです。

 

だからこそ、私たちは産地まで足を運び、自分たちの目で品質を確認し、生産者との信頼関係を築きながら、直接仕入れを続けています。ただ「天然100%」というだけではなく、その背景にある品質やストーリーまで含めて、お客さまに届けたいと思っています。

 

 

 

――品質へのこだわりがよく伝わってきました。では、ヘナそのものが心身にもたらす効果については、どうでしょうか?

 

ヘナに含まれる「ローソニア」や「ナフトキノン」といった成分についてもさまざまな研究が進められていて、心身のコンディションを整える可能性が報告されています。

 

アーユルヴェーダでは、ヘナは古くから暮らしに取り入れられてきた代表的なハーブの一つ。葉には殺菌・抗菌作用があるとされ、傷のケアに使われたり、抽出したオイルも幅広く活用されてきた歴史があります。そうした背景から頭皮への負担をできるだけ抑えたいと考える方や、敏感肌の方からへナが選ばれるケースも。

 

また髪にハリ・コシを与えてくれる効果があるので、「髪がしっかりしてきた」「ボリューム感が出た」と感じる愛用者も多いですね。私は髪を染めること以上に、髪そのものを育てていくケアとしてもヘナを提案したいと思っています。

 

雨量の少ない砂漠で育ったヘナは、栄養分が豊富

 

 

――ヘナだけでなく、ハーブパックやオイルなど、植物由来のアイテムも展開されています。Mayoさんご自身は、どのような美容を実践されているのでしょうか。

 

私の美容のベースにあるのは、アーユルヴェーダの考え方です。植物の力を上手に取り入れながら、肌や髪が本来持つ力を引き出していくことを大切にしています。毎日のケアはとてもシンプルで、化粧水とセサミオイルを中心に、必要に応じてハーブパックを取り入れています。オイルは保湿やクレンジング、髪のケアなど、一つでさまざまな用途に使えるので、日常のケアに欠かせません。

 

美容も健康も、特別なことをするのではなく、自然の恵みを無理なく暮らしに取り入れ、その積み重ねを大切にすること。それが、年齢を重ねても健やかな髪や肌を育むことにつながると感じています。

 

 

 

「色よりも、ツヤ・ハリ・コシが大事」

 

――Mayoさんが考える「美しい髪」の基準とは?

 

髪色以上に、「ハリ・ツヤ・コシ」が大切だと思っています。どんなに美しいカラーでも、髪がパサついていたら魅力は半減してしまいます。反対に、自然な髪色でもツヤがあり、しなやかで弾力がある髪は、それだけで美しく見えるんです。

 

“艶(ツヤ)”という字は「豊かな色」と書きますよね。私はその言葉どおり、美しい色とはツヤのある髪のことだと思っています。

 

よく「色気がある」と言いますが、それもツヤがあるからこそ生まれるもの。髪に潤いがあり、生命力を感じられる人は、それだけで健康的で魅力的に映りますよね。これからの時代は、「健康であること」そのものが美しさになる。だからこそ、「自分自身で健康を育てる方法」を伝えていきたい。その入り口として、セルフヘナという文化がもっと広がっていけば嬉しいですね。

 

 

――ヘナ市場の広がりについては、どう感じていますか?

 

シムカラーではヘナのOEM事業も展開しており、ヘアサロン様やエステサロン様など、それぞれのコンセプトに合わせた商品づくりをサポート。インドの提携工場で品質管理を徹底し、充填から製品化、出荷まで一貫して対応しています。

 

OEM事業を通じて感じるのは、美容師さんの間でもヘナへの関心がだんだんと高まっているということ。以前は一部の自然派志向のお客さま向けという印象がありましたが、今では「頭皮環境を整えたい」「将来の髪を守りたい」という理由や、ブランディングとしてヘナを選ばれるサロン様もあります。

 

サロンでヘナの良さを体験し、自宅ではセルフヘナでメンテナンスする。そんな新しいヘアケアの習慣が広がれば、美容師さんにとっても、お客さまにとっても、より長く寄り添える関係が築けるのではないでしょうか。

 

 

 

――今後、目指していることを教えてください。

 

実は今、新しい美容体験も準備しています。その一つが、ハーブウォーターを額に流す「ハーブシロダーラ」です。ヘアサロンのシャンプー台でも施術できる機械を現在開発していて、植物の力で心と身体をリラックスさせる新しいメニューとして提案したいと考えています。さらに将来的には、ヘナカラー、ヘッドスパ、ハーブケア、シロダーラなどを組み合わせた複合型サロンも構想しています。

 

私がずっと変わらず持ち続けている想いは、とてもシンプルです。「人を健康にしたい。元気にしたい」。ヘナを始めたのも、そのためでした。髪がきれいになると、自信が生まれる。頭皮が健やかになると、毎日が少し前向きになる。そして植物の力に触れることで、心まで穏やかになる。私はそんな変化を、これまでたくさん見てきました。だからこそ、ヘナは単なるヘアカラーではなく、人生を豊かにするライフスタイルの一つとして広めていきたいと思っています。

 

プロフィール
川崎雅代
株式会社しむら 代表取締役/シムジャパン代表
江戸時代初期創業の「油屋」をルーツに持つ株式会社しむらで、植物由来の美容・健康製品の開発・普及に取り組む。インド産天然100%ヘナ「シムカラー」や「琉球ヘナカラー 美ら艶(ちゅらつや)」をはじめ、ヘアケア・スキンケア製品を展開するほか、OEM事業も手がける。日本アーユルヴェーダ協会理事、ヨーガ療法士、天然美容家Mayoとしても活動し、植物の力を生かした美容と健康のライフスタイルを発信している。
株式会社しむら https://www.simura.com

 

 

 

>取材を終えて見えた、美容師さんにこそ知ってほしい可能性

 

 

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