「まさか私が薄毛に…」50代女性編集者がヘナで変わった。20年のヘアカラー生活を経て見えた“髪と地肌をケアする”という新常識【美容師・メーカー徹底取材】
第4章
「ヘナは”昔ながらの白髪染め”ではなかった」取材を終えて見えた、美容師さんにこそ知ってほしい可能性
美容師さんやメーカーへの取材を重ねるうちに、私の中でひとつ、はっきりしたことがあります。それは、ヘナは「アルカリカラーの代わり」ではないということ。
「ヘナか、アルカリカラーか」。そんな二択で語れるものではありませんでした。
年齢、髪質、ライフスタイル、そして5年後、10年後、20年後の髪まで見据えたときに、「こんな選択肢もありますよ」と提案できるカードが一枚増える。それがヘナなのだと感じています。実際、私自身もセルフヘナを続けていると、髪にハリが出て、ボリュームを感じるようになり、「白髪を隠すため」だったはずが、いつの間にか「髪を育てるため」にヘナをするようになっていました。この実感こそが、ヘナの一番の価値なのかもしれません。

一方で、「ヘナが広まるとセルフカラーが増えて、サロンに来なくなるのでは?」と不安視する美容師さんも理解できます。でも実際にヘナ専門店で施術を受けて、その考えは少し変わりました。
美容師さんに塗ってもらうだけで、こんなにも楽なのか。自分の髪にあった色を配合してくれて、髪質に合わせたハーブまで完全オーダーメイド。自分では見えない後頭部までムラなく塗ってもらえ、待ち時間もリラックスして過ごせる。お流しもすべてお任せ。セルフでも染められるけれど、プロに任せる心地よさはまったく別物でした。
そして何より、仕上がりが違う。「セルフで十分」ではなく、「やっぱりプロにお願いしたい」。そう思わせてくれる体験でした。セルフとサロンはライバルではなく、それぞれに役割があるのだと実感しています。
これからますますエイジング世代が増えていく中で、「髪を染める」よりも「髪を育てる」という価値は、きっと今より大きくなっていくはずです。ヘナで頭皮と髪のコンディションを整え、美容師さんがカットやカラー、デザインでその人らしさを引き出す。そんな関係性が当たり前になれば、お客さまはもっと長く、おしゃれを楽しめるのではないでしょうか。
美容と健康の距離がどんどん近づいている今、美容師さんに求められる役割も少しずつ変わっていくのかもしれません。ヘアデザインをつくる人から、髪を育てるパートナーへ。「Hair Growth(ヘアグロース)」という視点は、これからの美容業界を語るうえで、一つのキーワードになっていくような気がしています。
今回の取材で出会ったのは、単なる植物染料ではなく、ヘナが持つ可能性。そして、それを武器に新しい価値を生み出そうとしている美容師さんたちの姿です。
「ヘナは、未来の美容室をもっと面白くする選択肢になる」そんな予感を抱きながら、この取材を終えました。
(文/石田雅子)