【vol.6】100人に聞く!「いまお客さまが美容師さんに伝えたいこと」前編(美容師が知っておきたい最新コロナ情報)

髪を切ることは「不要」でも「不急」でもない

 

収束したら、どこよりも先に美容室に行きたいと話してくれた人もいました。

 

「コロナがきて、人に会わなくなりました。もともと引きこもり耐性が強い私は、さほど苦もなく、ぼちぼち暮らしてます。SNSもあるし、オンライン通話もあるし、寂しいと思うこともありません。だけど、今、どうしても会いたい人がいます。それが、美容師さんです。会いたい、と思うのは1日に1回どころじゃないかもしれません。

鏡を見るたびに『ワックスつけても髪型がイマイチ』『白髪が』『ボリュームが』と気になり、パソコンの画面から顔を上げるために『襟足が邪魔だなあ』と思います。

テレビに出てきた(美容師さんがファンの)スポーツ選手を見ては、雑誌でおしゃれな(美容師さんに近いスタイルの)コーディネートを見ては、Amazonでお互い好きな作家さんを見ては、美容師さん元気かな、また話がしたい、と思います。美容師さんやアシスタントの皆さんと、あんな話したな、こんな話したな、ということが生活の中にいくつも溶け込んでいるのに、このコロナを通じて気づかされました。

よく考えれば、離れて暮らす両親よりも、学生時代からの友人よりも、一年で一番顔を合わせているのは、美容師さんや、スタッフさん達です。行くたびに、顔を合わせればほっとしするし、私のたわいもない話に笑ってくれて、なんだかほくほくと温かい気持ちになって帰ってこれる場、それがいつもお世話になっている美容室。

今はまだ、電車に乗るのが怖くてなかなか行けないけど、早くお会いしたいです。会って、いろんな話をして、笑って、たまに真面目な顔をしてうなずくあの時間が待ち遠しいです。それが楽しみで、今日もまた1日を過ごします」(30代・女性)

 

「3年くらい坊主だったのに、コロナ直前、急に思い立って、ある勉強会で知り合った美容師さんのところに行ったんです。少し伸びたマリモみたいな頭で、切るトコ全然ないくせにワガママ言いました。その美容師さんはそれでも、この顔だったら、この髪質なら……と色々提案してくれて、そして最後に『理想の髪型を目指そうね』って言ってくれました。なんかうれしかったです。

それまで気づかなかったんですけど、美容師さんって、1回髪切るだけじゃなくて、ずっと心配してくれるんですね。それがまたおいでと言ってくれたような気がして、すごくうれしかったんです。

先日またオンラインの勉強会で会ったときも、僕の髪を見て『早く切りたい!』って言ってくれて。コロナが落ち着いたらすぐ行くので、またワガママ聞いてくださいね。会いたいです」(東京・40代・男性)

 

気軽に美容室に行けなくなって、あらためて美容師さんたちのありがたみを実感しているという方も。決して、不要不急の存在じゃない、と話してくれました。

 

「すっきりした髪で毎日過ごせていたのは美容師さんのおかげだったんだなあと、しみじみ感じています。美容室は生活になくてはならないもの。お店を開けておくのも、休業するのも今は本当に大変だと思いますが、なんとか頑張ってくださいね! 必ずまた伺いますので!」(福岡・30代・女性)

 

「髪を切らないでいても、死んだりはしません。だけど、美容室で丁寧に手入れをしてもらう時間は、私の疲れた心をほぐして、満たしてくれていました。いつ行っても、私を大切に扱ってくれてありがとう。他愛のない話で笑わしてくれてありがとう。

私にとって髪を切ることは『不要』でも『不急』でもなくて、今一番やりたいことは、髪を切ることです。本当は今からでも行きたいくらいです。伸びきって、ハネきって、すごく暴れた髪型になっていますが、待っていてください」(東京・30代・女性)

 

いま、サロンを開けている美容師さんを気遣うこんなコメントもいただきました。

 

「会社からも外出を控えるように言われていて、3月以降、カットに行けなくて辛いです。カットしながら、楽しくお話できていたころが、懐かしいです。美容室に行けなくなってセットが上手くできなくなると、こんなにストレスが溜まるんだなと、初めて感じました。担当してくださる方のカットで、髪型だけじゃなく、毎日、楽しく過ごせるようにしていただいていたのだと、改めて思いました。

いま、美容室を開けることで、SNSで批判されたり、家族に反対される美容師さんがいることも知り、心を痛めています。正解のないこの時代には、何を選んでも大変な決断だと思います。だけど、僕にとって美容室で過ごす時間は、本当に大事な時間です。自粛明けたら、すぐに行きます。お店に行ってみなさんと話せるのを楽しみにしております」(東京・40代・男性)

 

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今回、いろんなお客さまに話を伺っていて感動したのは、その誰もが、熱っぽく自分の担当美容師さんについて話をしてくださることでした。「自分にとって、美容師さんの存在がどんなに大切な存在か」を、ここに書ききれないくらい、話してくださいました。

快く取材にご協力くださったお客さまのみなさま、本当にありがとうございました。

 

まだまだ大変な状況は続くと思いますが、みなさん、本当にお体に気をつけられてくださいね。みなさんと会える日を待っているお客さまのためにも、元気でいらしてください。

 

次回は、美容師さんがコロナ下の営業で、「お客さまにかけていただいてうれしかった言葉」をお届けします。

 

 

(取材・文/佐藤 友美・イラストレーション/カツヤマケイコ)

 

プロフィール
佐藤 友美(さとう ゆみ)


日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、8万部を超える大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。最新著書は『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)

 

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