Voicyスペシャル対談 LECO代表 内田聡一郎×メディアアーティスト 市原えつこ (後編) 大事なのは「義理仁義」凡人の前提に立ち戦略的に立ち回る

あんなエッジの効いたものつくっておいて凡人ですか。」(内田)

 

 

市原:内田さんに髪を切ってもらうと絶対にいい仕事が入ってくるっていう個人的なジンクスがあるんですよ。コロナの自粛中に近場の美容室で適当に済ませていたら、やはりあんまりいい仕事はこなかったりして。最近も内田さんに髪を切っていただいたあとに、全国紙の大きなインタビューが入ってきました。どちらかというと髪を切るよりも「気」をもらいにいっている感覚ですね。

 

内田:それはつまりアゲチンカットということですね。

 

市原:ですね、クリエイターとか、独立事業で自分でビジネスしている人にめちゃくちゃ薦めたいですね。絶対に事業運が上がると思います。

 

 

内田:じゃあ、市原さんの髪をカットさせてもらっている内田から質問していいですか。最近は雇われない生き方とか、好きを仕事にするとか、色々な理由でフリーランスとして活動している人が増えているんだけど、アートっていう領域もそうじゃないですか。酸いも甘いもあったと思うんですよね。フリーランスとしての数年間、どうでしたか。

 

市原:フリーランスになる瞬間は怖かったし、葛藤がありました。とはいえ今はそれなりに戦略的にやれているかなと思っています。基本的に自分は凡人であるという前提で何事も考えているので。

 

内田:あんなエッジの効いたものつくっておいて凡人ですか。

 

 

市原:何か突出した能力がある人間ではないので。でも、独立するときはRPGの攻撃力と防御力みたいな感じで、人脈やスキルとか、貯蓄の余裕とか、パラメーターを総合的に考えていました。自分に今何が足りておらず、何でカバーしていくのかとか手探りで戦略を立てて、弱点があったとしてもそこで諦めずに自分が取り得る最善の手を打つ。あと、大事なのは収入を分散することですね。

 

内田:なるほどね。

 

市原:独立したてのころは大きいクライアント1社頼みだった時期もあったんですけど、その仕事が消えるリスクもあるので、収入分散はフリーランスの原理原則だと思っています。クライアント先を広く増やしたり、いろんな事業の柱をつくるということですね。最近だとコロナの影響で展覧会が中止になったりしましたけれど、メディアの仕事とか執筆案件とかがあったおかげでそんなにダメージを受けなくてすみました。

 

内田:さっき教えてもらったメディアの仕事以外だとどんな収入源があるの?

 

 

市原:例えば、直近の1年は大阪万博の日本政府館の基本コンセプトを策定するチームに参加させて頂いたり。あとは企業や行政のPRやコンサルティングの仕事がありますね。新しい技術や製品、イベントなどをプロモーションしたい、というご相談があることもあります。
さらに例えば「人間の死」に関わる作品をつくると、そのテーマから派生して色々な仕事が広がるというか。「死にまつわる講演をお願いします」「執筆をお願いします」とか、作品テーマに関連する仕事が増えていきますね。作品をつくっていかにそれを価値に換金していくか、みたいなところはいつも考えてます。

 

内田:自己ブランディングからくる仕事があるわけですね。

 

市原:アーティストもタレントと似ていて、人気商売みたいな部分もあるんですよね。ひとつ作品をつくると自分に新しいイメージがつくので、それと関係する仕事がくる。

 

内田:展覧会を出すだけでは食べていけないのかな。グッズ販売とかもあるけれども。

 

市原:展覧会のギャラはピンキリだったりしますが、宣伝効果は間違いなくありますね。「あの展示を見ました」というきっかけでお仕事の話をいただくこともたくさんあります。

 

内田:展覧会でブランディングして、市原えつこっていう人間を知ってもらっているんだ。

 

 

市原:企業にとっての広告宣伝に近いかもしれません。ブランディングしてお仕事を獲得したり、ギャラを上げていく感じはありますね。基本はまず作品があって、そのイメージに対する仕事をどんどん回していますね。

 

内田:コメンテーターとかで出てきそうですよね。

 

市原:まさに最近、アベプラの「陰謀論特集」にコメンテーターとして出演させていただきました。内容がギリギリすぎて、放送事故的な回だったんですが……。

 

内田:新しい方向性ですよね。

 

市原:アーティストには変な発言とか「なんかヤベーやつがきた」感を期待されていると思うので、自分にあった立ち回りを模索しているところです。

 

>「好きなことを仕事にするために大事なことってなんですか」(内田)

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