「美容師は相手ありきの仕事だから」当たり前を貫き、殻を破り続けた17年。 師匠・VANから学んだこと―美容師のコトダマ Cocoon泰斗さん―

「学ぶは“真似”ぶ」

 

 

スタイリストになった頃、まだ尖っていた僕は、自分のやり方、自分のデザインというものに固執している面がありました。自分の武器はなにか、自分印とはどういうものか、どう色をだそうか。そんなことを考える毎日でした。そんな時にVANに言われたのが「学ぶは真似ぶだから。自分の色なんてそもそもないんだよ。真似をして元々の自分が消えちゃうくらいならそんなの個性でもなんでもないから。」という言葉でした。

当時はその言葉を理解するのに時間がかかりましたが、今はその意味がよくわかります。最初から“自分らしさ”をつくろうとするほど、視野は狭くなってしまう。まずは徹底的に真似ることが、幅を広げることにつながるんだと思います。

 

 

ただ、“真似る”ことは簡単ではありません。必要なのは、表面だけでなく、その奥まで捉える観察力です。例えばレイヤーのカットでも、「オンベースで引き出している」ということだけではダメなんです。そのときの姿勢や腕の角度、手の動かし方を見る。そして、「なぜそうしているのか」という意図まで含めてコピーする。

会話も同じで、何を話しているかだけでなく、どんなトーンで、どんな流れで、何のためにその言葉を選んでいるのかまで考える。そうやって“思考ごと”真似し続けることで、できることが一つずつ増えていきました。

 

「真似て、真似て、最終的に同じにならなかったところが個性だから、最初から個性とか意識するな」とずっと言われ続けていましたね。

実際、僕はカットの仕方も、手つきも、話し方も何から何まで師匠であるVANのコピー。でも全てがVANと同じにはならないんですよね。その“ズレ”こそが、結果として自分のオリジナルになっているのだと思います。

 

 

やらない、やりたくないは出来る奴が言うこと

 

 

今でこそコンテストで賞をいただいたり、撮影に呼んでいただいたり、セミナーに立たせてもらう機会も増えました。でも、どれも最初から「やりたい」と思って始めたわけではありません。

 

もともと撮影やクリエイティブへの憧れはありました。でも、毎日すごい人数のお客さまを担当し、その前後でセミナーに撮影にと、外部の仕事に奔走するVANの姿を見て、「あんな大変なことは自分には無理だ」と思ってしまったんです。

 

そんな僕をVANは「やらない、やりたくないは出来る奴が言えること。選択肢ない奴が何言ってるの?これしかないじゃなくて選べる自分になれ。」と叱ってくれました。

 

撮影やコンテスト、さらには売り上げに対しても「やりたくない」という声を聞くことがあります。でもそれは、やれている人が言うこと。僕自身もそうでしたが、「できないこと」を「やりたくないこと」にすり替えていたんです。

 

 

僕はVANに叱ってもらって、売り上げも、コンテストも、セミナーも、撮影も、とにかく一つずつ向き合ってきました。やれることが増えてきた今、見える景色は明らかに変わっています。だからこそ、VANからもらったこの言葉を、次は自分が伝えていきたい。スタッフ一人ひとりの選択肢を広げられる存在でありたいと思っています。

 

忙しく働くVANを見て自分には無理と逃げていましたが、今は毎日予約が埋まり、撮影やセミナーでスケジュールも忙しい日々を「幸せ」だと思えるようになりました。

 

>「お前以上にお前のこと考えてる」

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング