日常すべてをデザインにつなげる発想力と、人を楽しませる探究心 ― Ii高木貴雄の習慣
美容師として走り続けるための、体づくり

毎日お酒を飲んでいると言うと、不健康そうに聞こえるかもしれません(笑)。
ただ、サロンワークのパフォーマンスを維持するためにも、食生活には気をつけるようになりました。美容師は、技術や感性だけではなく、まず体が資本の仕事だと思っています。
営業中は忙しくて食事を取れないこともあるので、朝食はしっかり食べるようにしています。納豆は毎日欠かさず食べています。腸活にもなるし、タンパク質もしっかり取れるので。そこにご飯と卵、その日の気分でおかずを足しています。昼食を取る時間がなさそうな日は、合間に寒天ゼリーを20秒くらいで食べて、空腹を抑えることもあります。夜は、活動量を考えて糖質は控えめにして、鶏胸肉や野菜など、タンパク質を中心に摂るようにしています。
昔はそこまで意識していませんでしたが、長く美容師を続けていくためには、体調管理も仕事の一部だと感じるようになりました。体を整えることは、ただ健康でいるためだけではなく、お客さまに最高のパフォーマンスを届け続けるための準備なんです。
美容師になる前から、表現することが好きだった

習慣って言えるほどじゃないんですけど、たまにスタジオに入って一人で弾き語りをしています。ギターは小学生の頃からで、中高はバンド、専門時代もずっと音楽をやっていました。ジャンルは、アコースティックならJ-POP、エレキだとロックですね。父親がずっと洋楽ロックをやっていた影響もあって、音楽は身近な存在でした。進路の一つに考えていたぐらいです。
今はなかなか音楽に時間を使う余裕がないんですけど、最近はAIで音楽を作れるので、家で少し時間が空いたときに触ったりはしています。音楽は息抜きかと聞かれると、正直ちょっと違うんですよね。むしろ美容師をやっている時間のほうが、自分にとっては、息抜きに近い感覚です。音楽は真剣にやりすぎてしまうので(笑)。
そう考えたら、美容も音楽も、結局は「表現すること」なんですよね。いつか自分が作った曲をバックにヘアショーをする、そんなこともできたら面白いなと思っています。
サーキュレーターも洗濯物もデザインの種

本はあまり読む習慣がないんですけど、図鑑はよく見ます。動物の図鑑とか、鳥とか、海とか深海魚とか。色はもちろんですが、形やシルエットを見ていることが多くて、そこからヘアデザインのヒントをもらうことは結構あります。
デザインのインスピレーションは日常の中から受け取ることもすごく多いです。例えば、サーキュレーターの回転を真上から見たときに、「これ、ロングの人が回転している絵に置き換えられるな」とか。洗濯物のデニムがふっと持ち上がった瞬間に、「この動き、髪に落とし込めるな」と思ったり。そういう一瞬の引っかかりから、デザインにつながることもあります。何を見ても髪に結びついてしまうというか。自分でもちょっと病気なんじゃないかと思うくらいで。

この間も、電車の中で見かけた方の襟足の処理が少し特殊で、普通に見たら“切り残し”なんですけど、それを見て「こういう見せ方もありかもしれない」とか、“剃り残しの美学”みたいなことを考えてしまったり。
もともとは、いろんなことに興味があるタイプでしたが、美容師になってからは、その散らばっていた興味が、全部“髪”に集約された感覚があります。特別なことをしているわけではないですが、日常のすべてが、自然とデザインにつながっていくんです。