日常すべてをデザインにつなげる発想力と、人を楽しませる探究心 ― Ii高木貴雄の習慣

発想を形にする習慣

 

 

思いついたアイデアを形にするために、デッサンは欠かせません。何か浮かんだら、頭の中だけで終わらせず、一度絵にしてみる。iPadに描くことが多いですが、きれいなデッサンというより「こんな感じ」というラフなものです。その中から「これは形にしたい」と思ったものを選んで、ウィッグで試したり、サロンワークに落とし込んだりしています。

 

例えば「坊主のアシンメトリーってどうかな」とか。それをデッサンしておいてウィッグで作ってみる。作ってみて違ったら、それも経験になるし、良ければ次のデザインにつながる。結局、その繰り返しでしか前には進まないと思っています。

 

 

形にしてみないと気が済まないので、ストイックに見られることもありますが、自分の場合はどちらかというと心配性なんだと思います。髪は、その人が毎日身につけるもの。外せないアクセサリーのようなものだからこそ、お客さまに提案する責任は大きいと思っています。個性的なスタイルを求めてくださるお客さまもいるので、感覚だけで一発勝負するのは違う。自分の中にたくさんの経験や引き出しがあるからこそ、安心して提案できるんです。

 

若手美容師さんはお笑いをみよう!人を楽しませる力を磨く習慣

 

 

若い美容師さんにおすすめしたい習慣は、お笑いを見ることですね。先ほどは音楽を仕事にすることも考えていたと言いましたが、お笑い芸人になることも本気で考えていました。進路としては美容師、音楽、お笑いの3つで迷っていたんです。最終的に美容師を選んだのは、ものづくりが好きだったこと。そして、担当してくれていた美容師さんがすごく面白い人だったことが大きかった。その美容師さんの影響で、人を楽しませることは、お笑い芸人じゃなくてもできるんだって思ったんです。

 

今の時代、技術が上手いだけでは選ばれ続けるのが難しくなってきています。もちろん技術は大前提ですけど、そこに人柄が掛け合わさって初めて「この人にお願いしたい」につながると思うんですよね。実際、売れている美容師さんって、人を惹きつける魅力があります。話しやすかったり、空気感が心地よかったり、いい意味で癖があったり。そういう部分をお客さまはすごく見ていると思います。

 

 

お笑いはコミュニケーションを磨く上で、すごく勉強になります。芸人さんって、ただ面白いことを言っているだけじゃないんですよね。話すテンポ、相槌の入れ方、相手との距離感、その場をどう盛り上げるか。実はものすごく細かいところまで考えられている。もちろん、お笑いを見たからといって、すぐに会話が上手くなるわけではありません。でも、普段からそういう視点を持って見ていると、人との接し方や空気の読み方に少しずつ変化が出てくると思います。

 

 

美容師は、髪を切る仕事ですけど、結局は人と向き合う仕事です。デザインを見る目も、技術を磨くことも大切。でも最後に人を惹きつけるのは、その人自身が持っている魅力です。だから若い美容師さんには、技術や美容の情報だけじゃなくて、いろんなものを見て、いろんな人に触れてほしい。その経験全部が、いつか美容師としての引き出しになると思います。

 

プロフィール

『Ii』代表

高木 貴雄(たかぎたかお)

1985年、兵庫県生まれ。NRB日本理容美容専門学校卒業後、大阪府内1店舗を経て上京。21歳でVeLO(現・VeLO&vetica Hair Salon)に入社。19年間在籍し、一般誌・業界誌、セミナー、ヘアショーでも活躍。2025年4月、代々木に『Ii』をオープン。クリエイティブイベントHANGOUTを主催。その人に似合う唯一無二なヘアデザインを提案し、著名人からの支持も厚い。

Instagram:@ii_takaotakagi_

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