日常すべてをデザインにつなげる発想力と、人を楽しませる探究心 ― Ii高木貴雄の習慣

19年に渡り原宿のデザインサロンで腕を磨き、昨年代々木にIi(イー)を立ち上げた高木貴雄(たかぎたかお)さん。エッジィからナチュラルまで、その人自身の魅力を引き出す唯一無二のデザインで、多くのお客さまから支持を集めています。
一方で、クリエイションにも力を注ぎ、一般誌・業界誌の撮影やセミナー、ヘアショーなど幅広く活躍。さらにクリエイティブイベント「HANGOUT(ハングアウト)」を主催し、若手美容師の表現の場をつくるなど、業界に刺激を与え続けています。
そんな高木さんが大切にしているのは、特別な努力を重ねることだけではなく、日常の中からデザインの種を拾い、思いついたものを形にし、人を楽しませる感性を磨き続けること。
今回は、クリエイションを生み出すための習慣から、脳をオフにする方法、そしてこれからの美容師に身につけてほしい「人を惹きつける力」を育てる習慣についても伺いました。
考え続けるために、あえて思考を止める

Iiを立ち上げてからは、サロンワークの時間が大きく増えました。経営という新しい責任も加わり、予約枠を広げて、休憩時間もほとんど取らずにひたすらお客さまと向き合う日々。そんな生活を続けていたある時、「このままだと体力がやばい!」と感じる瞬間がありました。そこで始めたのが筋トレです。
営業前後に週3回ほどジムに通っています。とはいえ、今でも行く直前まで「行きたくない」と思っています(笑)。なんならマシンに座るまで、心の内は嫌がっています。でも、いざ始めてしまうと、そこからは意外と集中できるんですよね。筋トレをしている間は、目の前の動きや呼吸に意識が向くので、美容のことを考える余裕がなくなる。サロンワーク中も、隙間時間があれば階段で懸垂をしたりしています。

というのも、僕は常にヘアのことやクリエイションのこと、美容について考え続けてしまうタイプなんです。だからこそ、意識的に何も考えない時間をつくることが大事だと思っています。
筋トレをしている間だけは、脳が「しんどい!しんどい!」でいっぱいになる(笑)。その時間があることで、頭の中が整理されたり、また新しい発想が生まれたりする。考え続けるためには、時には考えない時間も必要。筋トレは、体を鍛えるためだけではなく、自分の思考をリセットするための大切な習慣になっています。
オンとオフを切り替えて、感性を遊ばせる

美容について考え続けてしまうのは、家に帰ってからも同じです。サロンでのことや、これからやりたいこと、セミナーのアイディアなど、気づくと頭の中でずっと考えている。でも、家にはできるだけ仕事を持ち込みたくないし、脳をオフにする時間も必要だと思っています。
そこで、自分にとって一つの切り替えになっているのがお酒です。
家に帰ると、健康診断の前日以外は毎日飲んでいます(笑)。焼酎、ウィスキー、泡盛など、その日の気分でいろいろ飲みます。もちろん単にお酒が好きというのもありますけど(笑)。飲むことで少しずつスイッチが切り替わっていく感覚があります。

ただ、面白いのは、完全に美容のことを忘れるわけではないんですよね。飲みながら、「あれをサロンでやったら面白そう」とか、「次のセミナーでこんなことできるかも」とか、結局考えていることもあります。でも、シラフのときとは少し思考の種類が違う気がします。正解を探すというより、「これやったら楽しそう」という感覚でアイディアが出てくる。常に考え続けているからこそ、時には力を抜いて、感覚に任せる時間も必要なのかもしれません。
