U-REALM高木裕介さん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第9回「格好をつける人」

「ヘアライター佐藤友美がみた 美容師列伝」。日本全国の美容師を取材してきたヘアライターの目線から、毎回「●●な人」を紹介し、その素顔に迫る新企画です。第9回めは「格好をつける人」。U-REALM高木裕介さんです。

 

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(イラストレーション:カツヤマケイコ)

 

格好をつける覚悟を持つこと

 

突然ですが、昨月、神席チケットを手に入れて、氷室京介さんのラストコンサートを観に行きました。BOØWY世代のわたしなので、前半戦の「CLOUDY HEART」ですでに涙腺が崩壊していたのですが、でも、ステージ上の氷室さんを見ているうちに、なんか不思議な感覚が沸き起こってきたんですよね……。

 

氷室さんが歌う姿、MCする姿を見て聴いているうちに、なにかデジャヴに近い感覚がおそってきたわけです。

 

それはたとえば

 

格好よくあるために、絶対に手を抜かないこととか

格好よくあるために、仁義を通すところとか

格好よくあるために、やせ我慢をして笑うところとか

格好よくあるために、怪我や弱みや愚痴をぐっとのみこむところとか

格好よくあるために、死ぬほど練習を繰り返すけれどもその水面下のバタ足を見せないところとか

 

あー、この感じ、わたし「知ってる」って思いました。

 

私が心からカッコいいと思ってきた氷室さんの生き方って、2001年に、はじめて表参道で出会った美容師さんたちとすごく似ていて、ああ、だから、私、ファッション誌のほかのどのページよりも、ヘアのページにいきなり惹かれたんだなあって、そう思ったんですよね。東京ドームのど真ん中で。

 

そして、その、私が美容師さんという職業に恋に落ちた、2001年、日本の美容業界のど真ん中にいたのが、高木君(と、呼ばせてください)でした。

 

私がライターになった頃には、すでに超売れっ子で雑誌に引っ張りだこだった高木君。「若いとナメられるんで、あまり年齢公開してないんですが……」とこっそり教えてくれた歳は、24歳だった。

 

___あれから15年。

高木君は美容師の仕事が憧れであるために、自分たちの仕事で夢を見せることができるように、水面下のバタ足を決して見せずに、涼しい顔をして「格好つけて」きた人だと思います。そう、氷室さん、みたいに。

 

「格好よい」ことって、「あー、俺、なんか知らないけど、自然と格好よくなっちゃうんだよね」みたいなモノでは絶対なくて、ちゃんと覚悟を決めて「格好をつける」ことだと私は思う。

自分が「格好よく」あるためには、無理もするし、我慢もするし、歯を食いしばるし、それでいて、みんなの前では、それをみじんも見せない。それが「格好をつける」ということで

 

それって、ただのナルシストには絶対にできなくて、自分の至らないところ、足りてないところに、嫌っていうほど、目を向けないとできないことだなと思います。普通の人だったら「ま、仕方ないよね、一生懸命頑張ったし」と思うようなことも妥協しないで「仕方なくないようにするにはどうすればいいか」を考え続ける、きっつい作業だと思う。

格好つけるためには、自分の「格好悪いところ」をえぐってえぐって、見つめて、(周りからみたら、知らないうちに)格好悪いところがなくなるまで、自分の弱点をつぶしていく行為だなって思うんですよね。

 

高木君を見ていると、すごく、そう思う。

 

 >「続ける」のではなく「生き残る」こと

 

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