二十歳の頃、どう過ごしてた? fifth 木村允人さんの二十歳の頃。
─どんな言葉を口にしていたか、覚えていますか?
覚えてますよ。シャンプーして、パーマもカラーもやって、タオル洗って…とアシスタントがめちゃくちゃ稼働してるときに、裏で休んでるスタイリストがいたんです。目の前の洗濯機ではタオルの乾燥が終わっていて、次に洗わないといけないタオルは山積み。なのに、その人たちは見て見ぬふりで飯を食ってる。それが本当に許せなくて「てめえ洗えよ、いい加減にしろよ」と、このままの口調で言いました。6個上の先輩に向かって(笑)。

─それは、怒られますよね…!?
はい(笑)。でも、2人いたスタイリストのうち、1人には怒られ、もう1人は面倒ごとから逃げて行ったのですが、怒ってくれた人はちゃんと話も聞いてくれたんです。それが、今はWAKUという美容室をやってる加藤敏さん。加藤さんは、「タオル洗えよ!」と怒鳴り込んだ僕に「言い分はわかるけど、言い方が違うだろ」と教えてくれたんですよね。
最初こそ反抗しましたが、僕も納得して。「わかりました、僕の言い方が悪くてすみません。だけど、今はこれだけ忙しいんだから、これをやるのはあんたらの仕事でしょ」と一度謝った上で意見をしたら、「それはごめん」と謝ってくれるような人でした。本当にいい先輩で、技術の全てを加藤さんから教えてもらいました。加藤さんには今でも感謝していますし、尊敬もしています。
─木村さんのアシスタント期間はどれくらいでしたか?
5年です。僕の時代は、3〜4年のアシスタント期間は当たり前だったので、周りと比べるとやや遅いくらいかな。5年は長かったと思うし、無駄だと思う部分もたくさんありましたが、技術にはかなり厳しいサロンだったので、基礎をしっかり作ってくれたという点では感謝しています。

5年かかった要因は色々ありますが、その一つとして、僕自身があまり練習をしなかったので、それは自分が良くなかったなと思っていますね。実は僕、ウィッグを切ることを本当にやってこなかったんです。
デビュー直前、後輩を連れて外部のセミナーを受講したら、セミナー講師が「ウィッグ買って練習してみて」と言っていて。それを聞いた後輩が「木村さんがウィッグ買ってるところ、1回も見たことないな…」と呟いていたくらい(笑)。
─ウィッグを切らずにどうやって練習していたんですか?
全て実践です。無駄なことに時間を使うのがとにかく嫌で、ウィッグを切るくらいなら人頭で練習すればいいと思っていました。今では「波巻きパーマ」はfifthの代名詞の一つになっていますが、それもウィッグで練習したことはほぼありません。
後輩がやっているのを横で見て、1回やってみようといきなり実践から入りました。さすがに最初は難しくて、巻くのにかなり時間がかかってしまったんですけど…。2人くらい本気でやったら、3人目から普通に巻けるようになったんですよね。
自分で言うのもなんですが、僕は人の話を理解することと、目で見たことを頭で分析するのは得意な方。逆算して考える癖があるから、パーマもカットも、常に完成形を頭に浮かべ「どこをポイントにすれば上手くつながるか?」を考えながらやっています。手先は不器用ですが、理論を頭で理解できれば、それを実践する力はあるのだと思います。

─デビューまでずっと、要領よく練習するタイプでしたか?
要領はいい方でしたが、量をこなした時期もありましたよ。デビュー前の1年間は、モデルカットをめちゃくちゃやっていました。きっかけは、僕の経営の師匠とも呼んでいる、Magicoの上原潤一郎さん。上原さんがfifthにコンサルで入ってから、デビュー前のスタッフをジュニアスタイリストとして稼働させてくれるようになったんです。
平日の手が空く時間にモデルに入客できるようになってから、楽しくなっちゃって。営業が終わった後も、21時から0時くらいまでモデルをひたすら切っていました。材料費以外のモデル売上は自分にバックされるので、収入面でもメリットが大きかったですし、その1年間は誰よりもやっていましたね。
─アシスタント時代の大きな失敗などはありましたか?
そうですね…受付で寝ていたことはありますね、営業中に。前日に2時〜3時くらいまで飲んでいたせいで本当に疲れちゃって、耐えられなかったんですよね。うとうとした瞬間、先輩に思いっきりパコーンと叩かれて、「今寝てたよね?」って言われて、「いや寝てないです」って(笑)。

当時はいつも飲み歩いて遊んでいて、生活リズムもめちゃくちゃ。それがよかったとは思わないけど、その何年も後、僕がfifthを本格的に伸ばそうと思った時に活きたのはその頃にできた人脈だったんですよね。今の幹部もそうだし、ジャーナルの人たちや、一緒に仕事をしている他のサロンの人たちもそう。なので、あの時間も無駄だったとは思っていません。
>当時を振り返って、「こうしておけば良かった」と思うことは?