二十歳の頃、どう過ごしてた? Hank. 堀江昌樹さんの二十歳の頃。

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成人して、大人としての第一歩を踏み出す年齢であり、多くの美容師さんにとっては、美容師人生のスタートでもある二十歳。今、業界で活躍するみなさんは、当時どんなことを考え、どんな日々を過ごしていたのでしょうか?
今回は、Hank.(ハンク)のオーナー、堀江昌樹(ほりえまさき)さんに二十歳の頃のお話を伺いました。
二十歳の頃、どう過ごしてた?

─堀江さんが美容師を志したきっかけはなんでしたか?
高校を卒業するまでの僕はサッカー少年で、プロを目指していました。でも、大きな怪我をしたこともあって「一生サッカーで食べていくのは難しいな」と高校生ながらに感じたんですよ。ずっと目指してきた目標がなくなって、ある種の挫折を味わったんです。
そこから、将来のことを考えるように。当時はカリスマ美容師ブームで美容業界が盛り上がっていた頃だったので、美容師ってどんな感じなのかな?と思って、初めて美容室に行ってみました。
そこで美容専門誌を見せてもらって、美容師っていうのはただサロンワークでお客さまの髪を切るだけじゃなくて、クリエイティブな面もあるんだと教えてもらって。美容って面白そうだなと感じたんです。そこからそのサロンでアルバイトをさせてもらったり、VOGUEなどのファッション誌を買って勉強するようになり、どんどん美容に興味が芽生えて、美容専門学校に進むことにしました。
─20歳の頃の堀江さんはどんなことを考えて過ごされていましたか?
ちょうど大阪の美容専門学校に通っていた頃ですね。その頃のことで、一つ記憶に残っていることがあって。
僕が通っていた学校は、オールパーパスのワインディングにすごく力を入れている学校でした。その部門で1位になることは学校で栄誉あることでしたし、先生からも「オールパーパスがうまい人はいい美容師になれる」と教えられていて。まずはその基礎で1位になりたいと、必死で頑張っていたんです。

1年生の頃は友達とも全く遊ばず、朝も放課後もずっと練習する毎日。バイトもほとんどせず、全ての時間を練習に使っていました。ですが、初めて出たコンテストやその次のコンテストでは優勝を逃してしまって。1年生の秋頃にようやく、1年生・2年生合同の関西の大きな大会で優勝することができました。
その時に、友達から「堀江って真面目だよね」と言われて、僕はムッとしたんです(笑)。僕の中で『真面目』という言葉にあまりいい印象がなくて、褒められた気がしなかったから。
というのも、オールパーパスって先生の言ったことを1から100までできたら完璧なデザインが作れる、答えがあるもの。だから「お前は言われたことしかできないやつだな」って言われたように感じてしまったんですよ。でも、腹も立ったけど、確かにそうかもしれないとも思ったんです。

これから美容師としてやっていくなら、人から言われたことを1から100までやる美容師じゃなくて、人が考えないこと、自分にしかできないアイデンティティを持たないと、面白くないし成功できないだろうなと。そこから、学校でやる技術だけじゃなく、感覚やセンスを磨くことにも意識を向けるようになりました。
映画館で映画を観たり、美術館に行ったり、そこからインスパイアされたものを絵にしてみたり、写真を撮ってみたり。アート、ファッションに触れる時間も増えていきましたね。
─視座の高い学生さんですね…! 就職活動も順調に進みましたか?
実はそうでもありません。就活を始めた当初は、モード系でクリエイティブな東京のサロンに就職したいと思ってたんです。でも、受けたところは全て落ちてしまって、やばいなと。
改めて将来のことを考えたときに、自分がやりたいことはいつか一人前になったときに表現すればいいから、まずはちゃんと教育してもらえる、オールマイティに技術を学べるサロンに入ろうと思い直しました。教育が充実していて、人間関係が良くて、怖くないところがいいなと思っていたのを覚えています(笑)。結果、ご縁があってapishに内定をいただきました。

美容学生時代といえば、もう一つ、忘れられない思い出があります。美容学校の卒業間近、自分探しの旅に出たんです(笑)。
それまではずっと皆勤で通っていたのですが、ふと「このまま卒業するのもいいけど、自分がどんな人間なのかを探しに行かないとダメな気がする」と思って。先生に「自分探しの旅に行ってきます」と手紙を書いて、ベトナムに二週間ほど旅に出ました。
目的は、ハノイから少し行ったところにあるハロン湖という湖。一度テレビで見たことがあって、中国の水墨画に出てくるような風景がすごく綺麗だったんですよ。これは自分の目で確かめたいと思って、航空券だけを買っていきました。宿も取らずに行ったので、歩いて安いホテルを探したりして。
旅先では印象的な出会いもありました。サパという中国とベトナムの国境沿い、少数民族がいるところにバスで15時間くらいかけて行ったときに、日本人の方とたまたま一緒になって。その方に、自分が美容師になることや、自分を見失いかけて旅に来たんだ、ってことを話したんですよね。そうしたら、旅の終わりに手紙をいただいて。「自分っていうのは結局自分の中にしかいないから、自分を大切にして、自分を信じてやりなさい」というような、熱くて深いメッセージが書いてありました。それを飛行機の中で読んで、感動して号泣して(笑)。そんな美容学生時代を経て、東京に出てきました。