二十歳の頃、どう過ごしてた? fifth 木村允人さんの二十歳の頃。

─当時を振り返って、「もっとこうしておけば良かった」と思うことは?

 

いやー、それはいっぱいありますよ。たとえば、学生の時から向上心を高く持って、いいサロンに入ってちゃんとスタートを切れていたら、今とはまた違う世界があるだろうな、とかね。言い出したらキリがないので、逆にあまり考えないようにしています(笑)。

ただ、過去にやり残したことがあったとしても、今現在、fifthグループのトップをやっているという事実はある。なので、過去に対してなにかを変えたいとは一切思っていません。

スタッフにも、「過去はどうでもいいから、未来を考えろ」とよく話しています。過去は、どう足掻いても変えられない。それなら、昔を思い出して暗い気持ちになるよりも、その経験を活かして未来に繋げる方がずっといいですよね。僕自身も、過ごしてきた時間があったからこそ今の生活や仲間がいる、と割り切って捉えています。

 

 

─これまでの経験が、今に活きていると感じるのはどんなタイミングですか?

 

一番感じたのはサロンワークをしていた時ですね。僕がスタイリストとして、サロンワークを3〜4枠やっていた時に一番気にしていたのは、自分がセット面にいない時のお客さまの仕草。前髪を触っていたら前髪が気になっているだろうし、左側を触っていたらそこが少し長いのかもしれない。離れたところからそういう仕草を全て見ていたんです。席に戻ったら、お客さまが触っていたところを少し手直しする。そうすると信頼が生まれて、リピートに繋がっていくんですよ。

その勘の良さこそ、さまざまな人生経験を経て培ったものかなと思いますね。色々な挫折があって、壁にぶつかってきたからこそ、人間味が出たと思いますし、臨機応変に動く能力が身につきました。

 

美容師の仕事をする上で、一番大切なのは「このお客さまは何を欲しがっているのか、何を求めているのか」に気づき、汲み取る能力だと思います。

そして、その気づきを得るために必要な“勘”とは、過去の経験から成り立つもの。この仕事は技術にこだわる人が多いですが、僕は、技術とは汲み取った要望を実現するための一つの手段でしかないと思っています。だからこそ、売れる美容師になるためには、人生経験と、人とのコミュニケーションが必須なんですよね。

 

二十歳のみんなへ

 

 

皆さんに勧めたいのは、とりあえず、何事もがむしゃらにやること。最近は、量より質っていう考え方の人が多いと思うんですよ。昔の僕もそのようなタイプでした。だからこそ、圧倒的な量をやる人には敵わないなと感じます。質を高めれば量は不要なわけではなく、量を、どれだけの速さと質でこなすか、なんですよね。

だから、目の前のことを、難癖つけずに言い訳せずに、やり続けてほしいですね。逆にそれをやっていないと、3年後、5年後に後悔するはず。なぜなら、僕自身がそうだったからです。どれだけ質を求めたとしても、必要な量をこなしていないと、その時点であるべきスキルがないことに気づく時がいつか来るんですよ。

 

そこで反骨精神に変えられたら跳ねるかもしれませんが、ネガティブな気持ちになってしまうと、折れてしまう場合もある。それなら、最初から割り切って、言われたことをちゃんとやっておくべきじゃないかなと思います。学生時代やアシスタント期間というのはある種、自分のエゴを忘れて、先輩たちの言うことを聞いて覚悟を決めて過ごす期間なのかもしれません。

 

 

それでも、つまらないと思いながらやってほしくはないんですよ。一度社会人になったら、基本的にはこの先ずっと仕事をすることになるじゃないですか。その時間をつまらないものにしてしまうのは、あまりにも勿体無い。

だからこそ、働く環境は豊かであるべきですし、それは会社、ひいては経営者の役目だと思います。ただ、環境が豊かなだけでは仕事は楽しめません。やっぱり、楽しむためには一定の実力や結果が必要になる。そこに関しては、個人の努力がないと得られないものなんですよね。

だから皆さんは、この先何十年も続く仕事を楽しむために、学びの集中期間として2〜3年を使うようなイメージでいたらいいかもしれません。そこで手を抜くと、手を抜いて過ごした以上の時間を無駄にすることになる。今は、楽しみながらも死ぬ気でやってほしいです。

そうして1年、2年、3年と経ったときには、きっと今とは違う景色が見えるはずですよ。

 

★Extra Contents

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(文/岩木日向子 撮影/松林真幸 MIKAN inc)

 

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