50代トップ美容師・藤野ちずるが見つけた幸せの方程式。表参道発「好きな仕事だけで生きていく」という最強のライフスタイル

 

SNSで支持される理由は「かわいいを作る力」

 

――ヘアメイク時代の経験は、今の仕事にも生きていますか?

 

すごく生きています。お客さまや美容師さんから、私のInstagramの「写真がかわいい」と言っていただくことが多いんです。それはヘアメイク時代に培った感覚があるからだと思います。

 

ヘアメイクの現場では、髪型だけではなく、「この人をどうしたら一番かわいく見せられるか」を常に考えます。光はどこから当てるか。顔はどちらに向けるか。目線は少し上がいいのか、横がいいのか。前髪を1ミリ動かすだけで印象が変わることもあります。そういうことを毎日のように考えながら仕事をしてきました。だから今も、スタイル写真を撮るときは、「髪型を撮っている」という感覚ではないんです。そのモデルさん、お客さま自身が、一番素敵に見える瞬間を残したい。そんな気持ちで撮っています。

 

 

美容師さん同士だと、「このカットラインがすごい」とか「カラーの技術がすごい」という見方をすることもありますよね。でも一般のお客さまが見るのは、そこではありません。「私もこんなふうになりたい」と思えるかどうか。私はそこを一番大切にしています。

 

最近は一眼レフではなく、スマホで撮ることがほとんどです。十分きれいに撮れますし、その場で編集して投稿できるので続けやすいですし。SNSって特別な才能が必要だと思われがちですが、私はそうは思っていません。毎日コツコツ続けることと、「相手が見たいものは何か」を考えること。その積み重ねなんですよね。

 

 

 

 

「甘ったれだから、厳しい環境に身を置きたい」

 

 

――40歳で環境を変えたことが、大きな転機になったそうですね。

 

そうなんです。今の会社へ入ったのは、40歳を過ぎてからでした。それまでも美容師として長く働いてきましたし、お客さまにも恵まれていたと思います。ただ売上は80万円前後で、自分の中では「このままでいいのかな」という気持ちもあって。そんなときに声をかけてもらって、思い切って新しい環境を求めて、こちらのサロンへ飛び込みました。

 

今振り返ると、あの決断が人生を変えたと思います。新しい職場のkyliには、有名サロン出身の美容師がたくさんいました。予約の組み方も違う。アシスタントとの連携も違う。SNSへの向き合い方も違う。私はそれまで知らなかったことばかりでした。

 

 

40代になると、「教える側」になることが多いですよね。でも私は、「知らないことは教えてもらえばいい」と思ったんです。本当にスポンジみたいでしたよ。

「それ、どうやるの?」

「なぜそんな予約の取り方をするの?」

「Instagramはどうやって更新しているの?」

私よりずっと年下の若手スタッフに質問攻め(笑)。プライドは、まったくありませんでした。知らないままでいるほうが、もったいないですし。

 

 

私は、自分のことをすごくストイックな人間だとは思っていません。むしろ、放っておくと楽なほうへ流れてしまうタイプ(笑)。だからこそ、表参道という刺激のある場所に身を置いています。周りには感性の高い美容師さんがたくさんいて、新しいデザインや技術が次々に生まれている。その環境にいることで、「もっと頑張ろう」と自然に思えるんです。

 

年齢を重ねるほど、「もう十分知っている」と思ってしまいがちです。でも私は、今でも毎日学ぶことばかり。だから美容師って、本当に飽きない仕事なんですよ。

 

 

 

>「かわいい」を作る時に何を見ているか

 

 

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