50代トップ美容師・藤野ちずるが見つけた幸せの方程式。表参道発「好きな仕事だけで生きていく」という最強のライフスタイル
50代になってわかった、美容室の役割
――50代になって、働き方やお客さまとの向き合い方に変化はありましたか?
すごく変わりました。若い頃は、自分の技術をもっと見てもらいたいとか、もっと上手くなりたいという気持ちが強かったんです。でも今は、それだけじゃない。
美容室って、お客さまにとって髪を切る場所であると同時に、気持ちをリセットする場所でもあるんですよね。
「今日は仕事で嫌なことがあって……」
「子育てが大変で……」
そんなお話をしながら、最後には笑顔で帰ってくださる。もちろん髪をきれいにすることは大前提です。でも、それ以上に「ここへ来ると元気になれる」と思っていただけたら、本当にうれしいですね。
だから私は、自分自身が幸せでいることを大切にしています。私が疲れていたり、余裕がなかったりしたら、その空気はきっとお客さまにも伝わってしまいます。
「自分が幸せじゃないと、お客さまを幸せにできない」
これは年齢を重ねるほど強く感じるようになりました。

――「好きな仕事だけで生きていく」という姿勢なんですね。
私は美容室が大好きなんですよ。休みの日でも気になるサロンがあれば、お客さんとして足を運びます。「この接客、素敵だな」とか、「シャンプーが気持ちいいな」と感じたことは、自分のお店でも取り入れられないか考えています。

私にとって美容室へ行くことは、勉強であり、楽しみでもあるんです。だから仕事とプライベートを切り分ける感覚があまりなくて、好きだから自然と学び続けられるんですよね。オーナーになりたいとか、店舗を増やしたいという気持ちはありません。私は現場でお客さまをかわいくすることが好きなんです。撮影も好きですし、新しいデザインを考える時間も大好き。だから毎日、好きなことを仕事にできている今が、本当に幸せだと感じています。
もちろん、好きなことを続けるためには勉強も必要ですし、時代に合わせて変わっていくことも大切です。でも、それも苦にはなりません。美容師という仕事が心から好きだから。好きだからこそ学び続けられるし、学ぶことがまた仕事の楽しさにつながっているんです。

――最後に、女性美容師へメッセージをお願いします。
40代、50代になると、「もう若くないから」とか、「今さら新しいことを始めても」と思ってしまう人もいるかもしれません。でも、私は40歳を過ぎてから人生が変わりました。新しい環境に飛び込んで、年下の人から教わって、Instagramも始めて、本当にいろいろなことに挑戦しました。だから、年齢は関係ないんです。大切なのは、「学びたい」という気持ちを持ち続けること。
私は今でも、自分はまだまだだと思っています。だから美容室へ勉強に行きますし、新しいデザインも見ます。その積み重ねが、自分を成長させてくれるんですよね。そして何より、美容師という仕事を楽しんでほしい。お客さまを笑顔にできる、本当に素敵な仕事です。私自身、50代になった今が一番楽しいと思えています。だから、これからもずっと現場に立ち続けたいですね。65歳までは頑張りたいと思っています。

- プロフィール
-
藤野ちずる
kyli表参道 クリエイティブディレクター
1975年生まれ。北海道出身。化粧品会社勤務を経て、原宿のサロンに入社。サロンワークとヘアメイクの両方を経験。40歳で、現在のサロンに転職し、環境を一新。SNSブランディングを習得し、実践的な集客・予約設計、現場でのオペレーションの効率化を図り、月間売上250万台のトップスタイリストへと躍進。現在はクリエイティブディレクターとして教育、サロンブランディング撮影など、現場力を武器に活躍中。
Instagram:@fujino.chizuru
(文/石田雅子 撮影/宮崎洋)