【1000万プレイヤーの独立】新屋敷建伍、SIA TOKYO “リスタート宣言”。積み上げたすべてを疑った日から、すべてが動き出した
“1000万円”の意味と、その先に見えたもの
――“1000万プレイヤー”という実績については、どう捉えていますか?
数字そのものに強い執着があったわけではないんです。ただ、一度到達すると発言に説得力が生まれるのは事実なので、「やるなら一度はやってみよう」という気持ちはありました。実際に、狙って取りにいったタイミングもあります。
最初に1000万円を達成したときは、ある意味勢いに近いものでした。月の中盤で500万円に届いて、「このままいけばいけるな」と確信してから、一気にスイッチを入れたんです。ただ、その裏側ではかなりの負荷がかかっていて、月末には胃腸炎で倒れてしまったりもしました。
その後も何度か1000万円を達成することはできましたが、続けていくうちに、体力的にも精神的にも余裕が削られていく感覚があって。「この働き方を続けるのは違う」と、徐々に考えるようになりました。だから今は、あのやり方を再現しようとは思っていません。あくまで自分にとっては一つの通過点であり、限界を知るための経験だったと捉えています。

独立を決意したタイミング
――独立という決断に至った背景を教えてください。
家庭を持ち、子どもが生まれたタイミングで、これからの美容人生について改めて考えるようになりました。仕事としては順調で、環境にも恵まれていたと思います。それでも心のどこかで、「このままで終わりたくない」という感覚がずっと残っていたんです。
その違和感と向き合った結果、7月に退職の意思を伝え、11月末で区切りをつけました。そして12月、代官山にSIA TOKYOをオープンしました。
独立に関しては、資金面で大きな不安はなかったです。もともとコツコツと貯蓄してきたこともありますし、アシスタント時代には手取り13万円の中で生活しながら、アルバイトを続けていた時期もありました。そうした積み重ねがあったからこそ、今回の決断にも踏み切れたのだと思います。

――現在のサロンづくりで大切にしていることは?
一番大切にしているのは“心理的安全性”です。これまで自分が経験してきたことも踏まえて、スタッフが無理なく、長く働き続けられる環境をつくりたいと考えています。売上を伸ばす方法はいくらでもありますが、その代償として体力や気力を削ってしまっては、本質的ではないと思うんです。短期的な結果よりも、長く安定して良い状態を維持できることの方が重要だと感じています。
実際、過去にはすべてを一人で抱え込んでいた時期もあり、その分ストレスも大きく、周囲に対して強く当たってしまったこともありました。だからこそ同じ状況はつくりたくない。今はチームとして、無理なく、それでいて着実に成長していける形を目指しています。

――代官山という立地を選ばれた理由は何でしょうか?
代官山は「難しいエリア」と言われることもありますが、僕はむしろチャンスがある場所だと捉えています。表参道のように競争が激しいエリアと比べると、しっかり価値を提供できれば選ばれやすい。いわゆるブルーオーシャンの感覚ですね。
それと同時に、これまで活動してきた表参道をあえて離れて、「もう一度ゼロからスタートしたい」という思いもありました。実際に代官山でスタートしてみると、街の落ち着いた雰囲気や環境の良さも実感しています。さまざまな条件や背景はありましたが、すべてを含めて、この場所を選んだことは正解だったと感じています。
