【1000万プレイヤーの独立】新屋敷建伍、SIA TOKYO “リスタート宣言”。積み上げたすべてを疑った日から、すべてが動き出した

順調だったキャリア。確かな売上。周囲からの評価——。それでも心の奥に残り続けたのは、「このままで終わりたくない」という違和感。その小さな揺らぎに向き合い続けた時間が、新屋敷建伍(しんやしきけんご)さんを次のステージへと導きました。
2025年12月、代官山にSIA TOKYO(シアトウキョウ)をオープン。劇的なビフォーアフターと、圧倒的な似合わせスキルで支持を集めてきた新屋敷さんは、今、新たなスタートラインに立っています。迷い、葛藤し、それでも踏み出した決断。その先にあったのは、“自分として生きる”という覚悟でした。
“逆張り”から生まれた武器

――新屋敷さんの代名詞といえば、インスタグラムのカウンセリング動画ですよね。当時、多くの美容師さんがカウンセリング動画を投稿していましたが、新屋敷さんは別格の注目度でした。1年間でフォロワー10万人をと増やした結果も納得です。
若くて可愛い女性をモデルに起用するのが“正解”とされていた中で、あえてその逆を選んでいたのは自分くらいだったと思います。年齢を重ねることで生まれる髪の悩み――例えばボリュームダウンや白髪といった課題にどう向き合い、どう解消していくか。そこには単なる似合わせだけではなく、発想そのものを切り替える必要があるんですよね。だからこそ、それらをトータルでクリアできる提案ができたときの反響は大きいものがあります。

新屋敷さんのインスタグラムより
一方でSNSでは、インパクトのあるスタイルや分かりやすいビフォーアフターを意識して発信しているので、そんな“特別な人ばかり”を僕が担当しているように見えるかもしれません。でも実際に来てくださるのは、ごく一般的なお客さまがほとんどです。特に多いのは大人世代の方で、「自分に似合う髪型が分からない」と悩んで来店されるケースが多いですね。
だからこそ、“似合わせ”と“再現性”に徹底的にこだわっています。サロンで仕上がった瞬間の可愛さだけでなく、その後の日常でちゃんと扱えるかどうか。そこまで含めて初めてデザインだと思っているので、見た目の派手さよりも、日常に自然と馴染むスタイルを大切にしています。

――そんな新屋敷さんのこれまでのキャリアについても教えてください。
もともとは保育士を目指していたんです。ボランティア活動にも通うくらい、本気で考えていました。ただ、親から「あなたに自分の子どもは預けたくない」と言われてしまって(笑)。そこで改めて進路を見つめ直し、美容の道に進むことを決めました。
最初に入社したのは、都内で複数店舗を展開する老舗サロンです。東京・目白の店舗に約5年間在籍し、基礎を徹底的に叩き込まれました。教育体制がしっかりしていた分、技術の土台はこの時期にしっかり築けたと思います。その後は表参道エリアを中心にいくつかのサロンを経験しながら、自分なりのスタイルを模索していきました。

一見すると順調にキャリアを積み重ねてきたように見えるかもしれませんが、実際はその都度迷いながらの選択でした。アシスタントとして4年間を過ごし、スタイリストデビュー後も3年ほどは売上が50万〜100万円の間で伸び悩んでいた時期もあります。生活を支えるために、美容師と並行して土木や引っ越しのアルバイトを7年間続けていたことも。
「このままでいいのか」「自分は何を目指しているのか」。そんな問いは、ずっと自分の中にあり続けていました。ただ、その違和感から目を逸らさずに向き合い続けてきたことが、結果として今の選択や現在地につながっているのだと思います。
