「美容師と書道家を両立したい」漠然とした夢が、たった一言で変わった日―LAURUN TAISHIさん

2つの活動で相乗効果が生まれる。美容師と書道家の共通点とは?

 

 

書道家としても活動することで、美容師業にも変化がありました。それは、僕を指名してきてくださるお客さまに新たな客層が増えたこと。イラストレーターさんやカメラマン、美大生のなどクリエイティブな活動をしている方が増えました。「美容師以外の感覚も持っている人にカットしてほしかった」とか、「制作活動のあるある話ができることがうれしい」など、理由はそれぞれ。書道をやっていることがきっかけでお店にきてくれる人が増えたのは、予想していなかった展開だけど、うれしい反響でした。

 

またそういったお客さまが増えたことで、ヘアスタイルづくりの部分でも、僕自身が成長できていると感じています。

 

今まではオーダーの際に、写真で「こういう感じにしたい」とか「モデルの〇〇さんのような感じにしたい」、など具体的なビジュアルを出してくださるお客さまが多かったんです。けれど、アーティスト基質の方は自分のしたい髪型を表現するときの言葉の選びが独特で。「ちょっとほぐれた感じにしたい」などニュアンスや感覚を伝える表現が多いんです。でもそういうオーダーが増えたことで、それに対応できるように、会話の中でお客さまがなりたいヘアスタイルニュアンスを汲み取る力が鍛えられた気がしています。

 

 

書道家として挑戦を続けて、どちらのお客さまにも楽しんでもらえる存在になりたい

 

 

書道家としての活動は、LAURUNのみんなが応援してくれて、美容師以外の活動を誰も否定せずにいてくれたからこそ叶ったこと。今の環境にはとても感謝しています。お客さまからの「TAISHIさんみたいな美容師さんを待っていた!」、「美容師さんでクリエイティブな話をわかってくれる人がいるのはうれしい」という言葉も、すごく励みになっています。

 

今後の書道家としての目標は、雑誌の題字を書いたり、オリジナルのフォントを作ったり、誰が見ても僕の作品とわかるようなスタイルを確立していくこと。美容師としては、今僕のところにきてくださっているお客さまを1番大事にしながら、ファンをもっと増やしていきたいと思っています。

 

そして、お客さまの髪を切っている時間だけじゃなく、書道家としての僕をふとした瞬間に思い出してもらえるような存在になりたいんです。例えば友人に紹介するときに「私の美容師さんおもしろいんだよね」「この作品書いた人なんだよ」とか。そうすれば、お客さまは僕のことを紹介しやすいし、僕はより多くのシーンでお客さまと関わっていけるから。美容師としてステップアップするためにも、僕には書道が必要です。どちらの仕事も楽しみながら、しっかり続けていきたいです!

 

プロフィール
LAURUNスタイリスト/カリグラファー
TAISHI

山口県出身。大村美容専門学校卒業後、都内1店舗で半年間勤務後、スペインでサロンワークを経験。その後、都内1店舗を経て、スタイリストデビュー後に『LAURUN』に入社。入社後は、幼いころから続けていた書道でも個展を開催するなど活躍の場を広げている。

 

(取材・文/土屋美緒 撮影/芝崎テツジ)

 

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