「美容師と書道家を両立したい」漠然とした夢が、たった一言で変わった日―LAURUN TAISHIさん

 

美容師兼書道家として活動するLAURUNのスタイリストTAISHIさん。スタイリストとして美容師業に励む一方、書家としても個展を開催するなど活躍の場を広げています。しかしここまでにくるまでの長い間、「美容師と書道家を両立したい」という想いを抱えつつも、一歩を踏み出せずにいたそう。

 

今回は、そんな彼が現在の活躍に至るまでの経緯と、ふたつの職業を両立する中で生まれたという、美容師としての強みに迫ります。

 


 

実家は神社!跡継ぎになる前提で書道を始めた

 

 

書道をはじめたきっかけは跡継ぎ教育の一環でした。僕の実家は神社なので、家を継ぐなら写経や芳名帳を書くために字が上手でなくては、と4歳くらいから書道教室に通っていました。書道は、上達して段を取得することが楽しかったし、後継になることも嫌だと思ったことはなく、むしろ家業を継げたらいいなぁと思っていたんです。

 

ですが、僕が中学2年生のころ、兄が家を継ぐことが決まりました。そこから「他にやりたい職業を探そう」と思い見つけたのが美容師でした。

 

地元はかなり田舎で、部活が終わって帰るころにはほとんどのお店は閉まっていました。その中で美容室だけはいつも明かりが点いていたんです。見た目はそんなにおしゃれなお店ではなかったんですけど、閉店後も中で練習しているおじさんの姿がすごくカッコよく見えて。美容師を目指すことを決めました。

 

同時に「いずれ書道家もやれたらいいな」という思いもあって、高校卒業までに師範の資格を取得しました。ですが、美容専門学校に通っている間は美容の勉強に専念していて、すっかり書道のことは忘れていました。

 

理想の美容師像を思い描いたとき、書道を思い出した

 

 

書道のことを思い出したのは、就職を考えたとき。当時はストリートファッション&ヘアにフォーカスした雑誌が美容学生の間でも大人気で、「誌面で活躍しているような美容師になりたい」と言う友人が多くいたんです。でも、僕は違いました。もちろん、カッコいいと思う美容師さんはたくさんいましたが、美容とは別に、もう一つ自分が持っているもので勝負できる美容師になりたいと思ったんです。そこで、“僕には書道がある”と思い出しました。

 

就職の面接では「どんな美容師になりたいですか?」と聞かれることが多かったんですが、そのときも頭に浮かぶのは、「カットで1番になりたい」とか、「売上No.1を取れるようになりたい」ということと同時に「美容師が本職だけど、書道と両立したい」という想いでした。

 

とはいえ、まずは美容師になることが先だと思ったので、就職と同時に書道をはじめようという気はありませんでした。そのときは、漠然と30歳くらいまでに美容師として成功して、そのうちに書道も何か形にしたいという想いだけが心の中にありました。

 

>書道家としても活動したい。再熱のターニングポイントとは?

 

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