「エースで4番」が集まるサロンでも埋もれない戦い方 -SHIMA 安藤 圭哉さん U29次世代美容師-

猛練習でポジティブサイクルを引き寄せる

 

 

そして、今僕はSHIMAにいるわけですが、平凡な自分がなぜ入れたのかよくわかりません。面接でも正直、手ごたえは感じられなかったです。ただ絶対に入りたいという気持ちは、誰にも負けていなかったのかもしれません。

 

理想の環境で美容師をスタートできたものの、1年目、2年目はやる気だけが空回りして、苦しい時間を過ごしました。先輩に叱られたときに不貞腐れたりして、子どもっぽい態度をとってしまったことも。しかも、何も結果を出せてないから、いつも心の中に焦りがありました。そんな僕も先輩の一言がきっかけで変われたんです。

 

「一番できてないんだから、一番練習しないといけないと思うよ」

 

シンプルな言葉だからこそ、僕の胸に刺さりました。そこから7時とか8時から練習する毎日がスタート。練習は嘘をつかないから、少しずつ実力がついてくると、気持ちもポジティブになってくるものです。だんだんと仕事が楽しくなったんですよね。

 

サロン内で一番忙しいスタイリストから、「今日から手伝ってもらうから」と指名されたことも励みになりました。一番忙しい人に使ってもらえるわけですから、期待に応えないわけにはいきません。自分的には最初の1年間は無駄にしたと思っていたので、挽回するためにベストを尽くしました。

 

「ありがとう」は、当たり前じゃない

 

 

デビューまでには5年間かかりましたが、それでも頑張れたのは、SHIMAの環境のおかげです。先輩たちはシャンプーした後に「ありがとう」とか、何か間違ったときは「ごめん」と、しっかり口に出してくれました。これって当たり前のようで、実は当たり前ではないことだと思います。そのことに気づいてから、スタッフにもお客さまにも素直に感謝できるようになりました。

 

デビュー後はSNSでの自分の打ち出し方をいつも考えてきました。SHIMAは知名度も影響力もあるサロン。そのなかで埋もれてしまうのは嫌だから、自分にしかできないことを今も模索しています。

 

SHIMAはガーリーやストリートなど、さまざまなジャンルにおける「エースで4番」が集まるスタイリスト集団です。僕もそのなかで「エースで4番」にならないと、お客さまに振り向いてもらえない。そんな想いから「大人っぽいハンサムヘア」を軸に、僕にしかできないヘアスタイルを提案しています。

 

カットラインを強調するためにいろんな角度から写真を撮ったり、季節感を取り入れた秋らしいスタイルを作ったり、いつもなにかしらの変化を与えることで、お客さまに飽きられない工夫をしています。もし更新をサボったら、スタイリストとして腐ってしまうと思う。なぜなら今この瞬間も、世の中のトレンドは動いているからです。

 

東京のトレンドサロンならではの戦い方

 

 

コツコツと更新を続けた結果、昨年の11月くらいから急激にInstagramのフォロワーが増えました。僕の提案したスタイルが刺さったお客さまが、さらに別のお客さまを呼んでくださる理想の状態です。でも、これで満足するつもりはありません。「SHIMAの安藤」と多くの人に知られるくらいにならないと、「エースで4番」になれないからです。

 

それにスタイリストの仕事は、いつまで経っても未完成。トレンドは流れていくものだし、自分の気分が変わることもあるからです。「大人かわいい」にも赤文字系、青文字系などのニュアンスがあります。今はボブを推していますが、どこに重点を置くかは、これからも変わっていくでしょう。

 

ただし、変わってはいけないものもあります。それは「一番になりたい」と願うことです。一番はピックアップされるけれど、二番は印象にも残らない。そういう世界だと思います。

 

だからもし、僕の話を参考にしたいという美容学生さんやアシスタントさんがいるなら、一番好きなものを見つけて、それを極めることを大事にしてほしいです。地方の場合は、「何でもできる美容師」が求められるけれど、東京は自分の得意なジャンルだけで、お客さまを集められる場所。東京で美容師をするのなら、一点集中で勝負してほしいです。

 

 

プロフィール
SHIMA KICHIJOJI PLUS1 
スタイリスト/安藤 圭哉(アンドウケイヤ)


北海道出身。国際文化理容美容専門学校卒業後、SHIMAに入社。5年間のアシスタント期間を経て2015年にスタイリストデビュー。ナチュラルな「大人っぽいハンサムヘア」をInstagramで打ち出し、新しい客層をSHIMA PLUS1 に引き入れている。2017年にブレイクし始めた若手注目株のスタイリスト。

 

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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