『アートスタイルは言語や国を超え、人の心を強く動かす!』 OCEAN TOKYO随一の職人美容師、七五三掛慎二のデザインルール”美容とバーバーの境界線を消す!”とは?

順位や評価に囚われたくない。自分の思い描く世界を作って2位なら悔いはない。

 

 

-類稀なるセンスで数々のスタイルを作っていますが、どんな努力をされてきましたか?

 

んー、努力という努力をしたことがないような(苦笑)。やりたくないことはやらないし。ただやろうとしたときに、できないままにするのはすごく嫌。できないことが見つかると、楽しくなるんですよね。できるようになるまで夢中でやっているから、その過程を努力だと思っていないです。

 

美容に関係することは、努力というより、ただ好きなだけです。毎日の洗濯や掃除の方が、僕にとってよっぽどの努力です(笑)。

 

-(笑)。できないことが見つかると夢中で向き合えるって、すごいなと思います。

 

こだわりが強いせいもあるのか、自分が作りたいものを形にできないと、めちゃくちゃ悔しい。その作品を作るために、モデル・カメラマン・アシスタントなどみんなに協力してもらうわけだから、ベストを尽くせなかったときはヘコみます。当たり前のことですが、とことん反省して、改善点を見つけて打破するまでは、かなりストイックに追い込んでいるかもしれません。

 

-職人気質がゆえ、作っているときに苦しいことってありますか?

 

そうだな~…追われているときですかね。作った作品が世間で流行り始め、そのピークになったころには自分の中で「もうこの作品はいいかな」って手を引きたくなっているんですよね。流行っているときにこそ、続けなくちゃいけないことはわかってはいるんですけど、どうも気がのらなくて(苦笑)。この間に、その流行った作品の延長線上を作ろうとするとやっぱ違和感があるし、そこを打破するためのアイディアが出るまで、なかなか苦しいです。

 

あと、最近悔しかったのは、メンズプレッピー主催のコンテスト「メンズトレンド大賞」で準グランプリを獲ったことかな。

 

Men’s PREPPY 「メンズトレンド大賞2019」の作品

 

-名だたるクリエイティブ美容師さんの中で準グランプリは栄誉あることのように思いますけど、どうして悔しかったんですか?

 

匿名で作品を発表して読者に投票してもらうので、本当にいいものが選ばれるコンテンスト。美容関係者がちゃんと評価してくれるから、自分らしいデザインで勝負できたらと思っていただけに、2位だったのは思った以上に悔しかったです。

 

なんでこんなに悔しかったのかを紐解くと、無意識に順位を気にして作っていたんじゃないかと。そんな自分に対して、ムカつきました。今まで散々「つくりたいものをやっているだけ」と言ってきたはずなのに、順位や評価がちらつく節もあるっていう、自分の中の矛盾に気が付いて腹が立ちました。死ぬまでこういう感情と闘って生きていくタイプなのかもしれません、僕は。

 

-2位になった理由、七五三掛さんはどう考えていますか?

 

めんどくさいことをやらなかった…一言でいうと詰めが甘かったんだと思います。頭の中で創造したイメージを完璧に再現できなかった。

 

準備万端で挑んだとしても、実際やってみるとカラーなどの仕上がりが微妙に違うことがある。だったら完璧に近づけるために軌道修正や最悪やり直しをするべきだったけど、細かい手間や、ベストを尽くすための判断を省いた点がありました。それが全体のイメージに影響してしまったと思います。心残りがいくつかありました。

 

自分が思い描けているそのままを作ったうえで2位だったら、どんな評価でも満足できたかもしれません。そういった点でいうと昨年参加した台湾のヘアショーATCは、全部やり切れたように思います。

 

>自分にしかできない何かで、人の心を動かす。その信念にプラスした『遊び』とは?

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