湘南の海辺でサロンを根付かせる工夫

 「商圏の半分が海」「観光客しか訪れない」「家賃相場が高い」といった商圏の特性から「海際でのサロン経営は難しい」と言われているなか、2016年に由比ヶ浜の真ん前に「Laid Back」をオープン。オーナーの西田さんにはある「秘策」がありました。

「海沿いは特に、まずシーズン以外はお客さんこないんで、周りからは『無理だ』『趣味で店を出すな』と止められたんですが、自分はこれは武器になる、ブランディングになると思ってオープンしています」

「まずは、お客さまは、地元の方はもちろんですが、遠方からもきていただけることを想定しています。遠方のお客さまには『今日は1日湘南で過ごすんだ』という感覚できていただきたいので、サロンの外にはシャワーをつけましたし、タオルも用意しています。それに、近辺の飲食店さんとも連携を取って、Laid Backのお客さまには割引サービスをしていただく。ヘアカットの日を、湘南で心地よく過ごしてもらえる日にしてもらいたいんです」

さらに、西田さんはSNSを通じて「湘南スタイル」も打ち出し始めています。

「実は、青山で美容師をやっていた頃はツヤのあるコンサバに近いスタイルがメインだったので、湘南らしいスタイル、例えばビーチスタイルとは無縁だったんです。だから、ゼロからの開拓。カメラもゼロから始めました。いま、週1回は撮影しています」

「加えて、SNSを通じて、周辺の美容師に呼びかけ、月１回、『mellows』というグループで撮影もしています。実は、湘南ってまだ『美容』のイメージがないんですね。でも、海好きの人たちのパワーってすごいので、絶対にこれはブランドにできるはずだと思っています」

　mellowsのコンセプトは、「OCEAN×BEAUTY」で統一。SNSを通じて呼びかけるので、都内の美容師が参加することも多いとか。「まずは自分から湘南のおしゃれなカフェやスタジオを開拓して、写真をたくさん撮ってどんどん公開したんです。すると、『こんな写真が撮ってみたい』と、30人くらいの美容師が集まってくれるようになりました」

　美容師から働きかけて、おしゃれな湘南ブランドを作っていく。その気概に共感する美容師たちが、いま湘南に集まっているようです。

– pick up!-

海辺の美容室 成功の裏に秘策あり！Laid Backの取り組み

サロンブランディングで他にない魅力を生かす

ターゲットは地元のお客さまと都内のお客さま。「実は海沿いというのは、商圏の半分が海に覆われて来客機会が奪われているので、不利と言われています。でも、海沿いだからこそ、Laid Backだからこそここにきたい、ここで過ごしたいと思える空間にこだわりました」と語る西田さん。

サロンをスタジオとして貸し出し

サロンは、海沿いのカリフォルニア感、湘南テイストを極めて「ユルめ」に作っている。スタジオとしていつでも貸し出せる体制を整えている。「海側の撮影の際にはヘアメイクやセットもここで出来ます。テレビでもカタログでも、幅広く使ってもらえるよう営業しています」（西田さん）

撮影グループ「mellows」を結成 周辺の美容師たちを巻き込む

「まずは、Laid Backのスタイル、湘南のスタイルを発信しなければいけないと思い、撮影を始めた」という西田さん。周辺のレストラン、ショップなどに声をかけ、週に1日は必ず撮影をセッティングし、Instagramで発信。さらに「いちサロンだけでは限界がある」と、周辺の美容師に声がけをし、共に「OCEAN×BEAUTY」を発信するグループへと成長させてきた。現在は月1回の頻度で活動中だ。

プロフィール

Laid Back オーナー
西田 泰祐さん

広島県出身。東京で6年働いたのち、広島、湘南で働く。2016年「湘南で美容を根付かせる」という理想のもと、Laid Backをオープン。撮影グループ「mellows」も主催する。

＜サロンインフォ＞
Laid Back
神奈川県鎌倉市長谷2-8-8 光洋ビル1F  TEL : 0467-73-7324

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