【vol.7】100人に聞く!「美容師さんがお客さまからもらってうれしかった言葉(美容師が知っておきたい最新コロナ情報)

「自粛中、唯一のリフレッシュがここなのよ」

 

「『自粛中ジムにも行けず誰とも合わず、ストレスを感じていたから、美容院を開けてくれて助かった〜』と言ってもらいました」(福岡・スタイリスト)

 

「家に子どもが3人、リモートワークをされているご主人とも喧嘩になっちゃってと、いらしたお客さま。『いつも家族の世話ばかりだったけれど、人に髪を洗ってもらったり乾かしてもらったり、自分がしてもらう立場になると、本当に癒されました』と言っていただけました。ドリンクや雑誌の提供ができず、普段よりサービスが減っている中、そんなふうに言っていただけてほっとしたし、そのお客さまの言葉で自信を持たせていただきました」(神奈川・代表)

 

「男性の独身のお客さまで、長引く自粛生活とテレワークでリアルな人との交流がなくなり、コロナ鬱になりそうだとサロンにいらしゃいました。施術中、たくさんお話され、最後は表情も明るくなって、楽しそうにお帰りになりました。その方が、大学生の時から担当しているので、姉のような存在に思ってくださっているんだろうなと感じました」(経営者・東京)

 

これを機に、お客さまとの絆が深まったという話も。

 

「『みんな元気でやってる? それだけ気になって。今すぐは行けないけど、頑張ってね』と、サロンに電話をくださったお客さまがいます。なんて、ありがたいこと」(神奈川・経営者)

 

「ちょうどカットが終わるころ、お客さまのご主人とお子さんが車で迎えにいらっしゃいました。そこで『子どもの髪も切ってほしい』と、初カットを任せてくださったのです。『2か月後まで楽しめるカットにしてね』と言われて、また2か月後に来てくださる約束ができたようで、とてもうれしく思いました」(石川・スタイリスト)

 

「店販だけを買いに来てくださるお客さまのほとんどが、スタッフ全員に差し入れをしてくださるんです……。ただでさえ、食料や、物が安定してない中、自分のことだけ考えがちなコロナのご時世に、スタッフ6人のことを考えてくださる気持ちがうれしいです」(神奈川・スタイリスト)

 

「私自身が産休に入る前だったのですが、お客さまからLINEをいただきました。『そろそろ我慢ができなくて、でも、妊婦さんなのでとても迷っています』とメッセージが。『もうすぐ産休入るのでぜひ来てください』とお伝えしたら、『めちゃくちゃ予防していきます』とお返事くださいました。3月、4月と、産休前なのにお客さまの数が減って落ち込んでいたのですが、こういうお客さまもいてくださるとわかって、休みに入るまで一人でも多くのお客さまに喜んでもらえるように頑張ろうと思いました」(沖縄・スタイリスト)

 

 

「感染の危険を減らすためにベリーショートに」と言われ……

 

自粛期間にサロンを訪れた人の中には、医療関係者の来店も多かったよう。

 

ある美容師さんのもとには、営業を再開するやいなや、医療従事者のお客さまがいらっしゃったという。

「2歳のお子さんがいらっしゃる看護師さんです。感染症指定病院のICU担当になったので、その前にとご来店されました。『家族にうつすリスクがあるから、次に病院に行ったら、もう家には帰らない。病院に泊まるつもり』と話してらっしゃいました。

私自身も小さな子どもがいます。なので『断ることはできないんですか?』と聞いたら、『自分にはその選択肢はない。なので、その前に髪を切りにきたんです』と。帰るときは笑顔で、『今は何でもコロナ優先だから、スタッフのみなさんも病院にかからなきゃいけないようなことにはならないようにね』と、私たちの心配をしてくださいました」(東京・スタイリスト)

 

やはり、最前線で働く医療従事者に「こんなときにきてごめんね」と言われた美容師さんもいる。

「その方は『自分がキャリアだったら……』という不安の中で、迷いながらもご来店くださったようです。『普段は緊張感のある患者さんのお世話の毎日。サロンにきて本当に気持ちが癒されました』と言っていただけました」(東京・スタイリスト)

 

コロナ対策チームになったお客さまに、「病院から、感染の危険を減らすために、ベリーショートにしてほしいと言われた」とオーダーされた美容師さん。

「最初は『今の髪型がすごく気に入ってるから、ショートにするのは嫌』とおっしゃっていたのですが、切り終わった髪型を見て『こんなに可愛いショートなら頑張れるし、逆に切って良かった。ありがとう』と感謝され、自分自身も胸が熱くなり感激しました」(神奈川・店長)

 

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取材中、「お客さまがきてくださることも、アシスタントが来てくれることも、当たり前じゃないんだということに気づけた。もう二度と慢心することはないと思います(神奈川・代表)」とおっしゃった美容師さんがいらっしゃいました。

 

「お客さまからかけていただいた言葉をシェアしあって、美容師という職業が本当にお客さまから必要とされていることに気づけた。コロナ、悪いことばかりじゃないですね(神奈川・経営者)」とおっしゃった方もいました。

 

この数ヶ月、チームで働くことの意味を考え直すことができたという美容師さんもいらっしゃいます。

「涙をのんで休業し、再開に向けて準備してきました。そして先日営業を再開し、お客さまにまたお会いできた喜びは言い尽くせないほどでした。この事態が収束しても、何を大事にしていくべきか、それを考える機会になったと思います。スタッフの結束力も強まったと確信しました(東京・マネージャー)」

 

私自身も、今回の取材を通して、美容の仕事は、直接命を救うものではないかもしれないけれど、命を救う人たちを支えたり、心の傷を癒したりするものであると、感じました。

まだまだ大変な状況は続くと思いますが、みなさん、本当にお体に気をつけられてくださいね。いま、どんな決断をされているみなさまのことも、心から尊敬しています。

快く取材にご協力くださったたくさんの美容師のみなさま、本当にありがとうございました。みなさんと会える日を待っているお客さまのためにも、元気でいらしてください。

 

美容の力が、この時代に明るい光を照らしてくれますように。

 

 

プロフィール
佐藤 友美(さとう ゆみ)

日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、8万部を超える大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。最新著書は『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)
 

(取材・文/佐藤 友美・イラストレーション/カツヤマケイコ)

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