ワイルドクラフト!? 松浦美穂に学ぶ「松浦流 辞めないスタッフ育成術」 TWIGGY代表 松浦美穂スペシャルインタビュー 後編―

スタッフを育てた感覚がない。私を見て勝手に育ったんです(笑)。

 

unnamed

 

-そのほかに美容業界全体で気になることはありますか?

 

「スタイリストデビューが少し早すぎると感じます。私自身も六本木美容室時代、デビューが早すぎて何度となく大きな壁に当たって砕けそうになりました。しかし、いろいろな経験をして感じたのですが、先の長い仕事ですから地道な努力と共に、プライベート時間から仕事につながるような『楽しい経験』も積み重ねて、“豊かな美容師”を目指してほしいですね。

美容師はお客さまに育てられますから、いいお客さまと10年、20年とお付き合いできることが理想的だと思うんです」

 

-実際、Twiggyではどのようなスタッフ教育をされているのでしょうか?

 

「うちのスタッフって長い人は10年以上在籍しているんですが、私、スタッフを育てたっていう感覚がないんですよ。私や先輩たちを見てみんな勝手に育ったんです(笑)。サロンワーク以外の撮影の仕事をはじめ作品撮りを続けていたり、40代を超えてNYコレクションのバックステージにはいってみたり、年に1回はロンドンに行ったり、ボランティアカットに出かけたり、はたまたマルシェに参加したり、お米を作ったり、屋上の畑もそうだし、毎年秘境に旅をして貴重な経験をしたり、屋上ビアガーデンや屋形船や仮装パーティの忘年会など夏や冬のイベントでみんなで大騒ぎしたり…。すべて自分たちの『手作り』で25年サロンワークを続けていることを、見て聞いてどう感じるか。『何この変な人』って思った人は辞めていったと思いますし。私の行動を見て、この人の生き方いいなと勝手に思ってくれたってことなんじゃないでしょうか(笑)。

子育てと同じで、『あの学校入るために勉強しなさい』って言ってもやらないし育たないと思うんです。自分が育とうと思ったら人も育つ。自分を育てるつもりで生きていれば、人は勝手に育つんだと思います」

 

-サロンで意識的に取り入れていることや、伝えていることなどはありますか?

 

「いろいろな経験をしなさいとは言っています。なので、夏と冬10日間ずつ休みをあげています。3日程度なら家でウダウダ過ごしちゃいそうだけど、10日もあればどこか行こうって思いますよね」

 

-技術面での教育はどうしているのでしょうか?

 

「いわゆるセミナーで行うような技術講習は、目安としては役に立つと思います。だから、ベースの技術だけは教えます。あとは『見てね』で終わり。『見てね』は『聞いてね』でもあるんですけど。見ているだけだと、ヘアスタイルの工程と完成しか見えません。でも、お客さまとの会話からヘアスタイルは生まれるんです。だから、盗み聞きしてねって。クリエイターである以上、五感をフルに使って第六感を育てるような過ごし方をしてほしいなと。そうすると、キレイなものがわかるようになってきます」

 

>松浦さんが若い美容師に望むこととは?

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング