たとえまだ半人前でも、お客さまに「世界一上手い」と言える心意気を持て びよう道 vol. 18 STRAMA 豊田永秀さん

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれも大切ですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

第17回目は、南青山にあるハイクオリティサロン「STRAMA」の豊田永秀(トヨダ ナガヒデ)さん。

 

豊田さんは、JHAなどのヘアデザインコンテストの受賞歴も多数。アンティークや植物にも造詣がある「センスの塊」のような人物です。今回はそんな豊田さんの修行時代のお話と、今どきの若手美容師を見て感じていることなどをお話しいただきました。情熱を持って美容師をしている人も、そこまで熱くなれていない人もぜひご覧になってください!

 


 

コソ練の甲斐あり技術試験に合格「やればできんだな」

 

 

僕には師匠が二人います。一人は前職DaBの八木岡さん。もう一人は僕が最初にお世話になった名古屋のヘアサロンのオーナーです。名古屋の師匠は芸術家肌で、サロンワーク中に突然カメラを持ってきて撮影をしたり、シーザーリングをする際に放つ音にこだわりを持っていた人。ボロボロのTシャツに安全ピンをつけた奇抜なファッションも印象的でした。ヴィダルサスーンベースのカットスタイルだったこともあり、技術にもこだわりがありました。僕が初めて挫折感を抱いたのはこの師匠の下での修行中ワインディングの試験に落っこちた時。悔しかったし、自分は美容師に向いていないんじゃないかって思ったんですよね。

 

店長に相談すると「ワインディングの上手さは巻いた本数に比例するから」と教えてくれました。それから、1カ月後の再チェックには絶対に合格するために、飲みにいくのもやめて本気で練習しました。同期に内緒でサロンの鍵を借りて、早朝から夜遅くまでひたすら巻く。そして、無事、チェックに合格。「やっぱやればできんだな」と思いました。

 

そんな駆け出しの美容師だったころの情報源は雑誌。一度『anan』(マガジンハウス)で東京のヘアサロン特集をしていたことがあったんです。かっこいいヘアサロンがいっぱい紹介されていたんですよね。実際にサロンを見てみたくて東京に行ったんです。向かった先は「boy」。代表の茂木さんにはカットしてもらえず「今日はこの人が担当するから」と言って若いスタッフを紹介されました。でも、その美容師さんが「ハズシ」っていうテクニックを入れてくれたんですよね。

 

>「お前はここでやる器じゃない」と言われて上京

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