たとえまだ半人前でも、お客さまに「世界一上手い」と言える心意気を持て びよう道 vol. 18 STRAMA 豊田永秀さん

お客さまの前では、いつだって世界一の美容師であるべき

 

 

もがいていたアシスタント時代からもう随分と時間が経ち、年齢的にも大人になりましたが、まだ自分が一人前だと思ったことはありません。美容師として、クリエイターとして、はたまた経営者として、上を見ればキリがない。自分より上の人がいる限り、とても一人前なんて思えないですよ。でも、そう思える限り、人は成長するんじゃないかな。

 

ただし、お客さまの前では、一人前どころか、世界一のプロでなくてはならないと思う。掃除を任されたら掃除のプロだし、シャンプーを任されたら世界一のシャンプーボーイだと思ってやるべき。カットに関しては、お客さまに「宇宙一うまいですから」と言っちゃっています。そのくらいのプライドがないと失礼ですよね。

 

今の時代の美容師には、こだわりや根性はいらないのかもしれない

 

 

最後に、若い子たちを育てる立場になって感じていることを一つ。売れないバンドマンや売れない役者が夢や目標を捨てずに頑張るのはかっこいいとは思うけれど、でも、評価って自分以外の誰かがするものじゃないですか。いくら頑張っても方向性が間違っていたり、そもそも向いていなかったとしたら、ずっと評価されないままなんですよね。だからこそ、今いる環境で開花できない子に対しては、違う道を勧めてあげるのも、僕らの仕事なんじゃないかなと。

 

一方で、もともと美容とかクリエイティブに興味があったわけじゃないけれど、生計を建てるための職業として美容師を選んだ人もいます。案外、こういう子のほうが素直に吸収するし、時代への適応もうまいんですよね。

 

 

 

仕事が終わったらすぐに帰るし、休日も友達と遊んでいるけれど、たくさんお客さんを見つけてくる。誰に何も言われなくてもセルフメイクの動画を撮って、それが集客につながっている。そんな今どきの子に、僕の髪を切ってもらったんです。「すごく緊張します!」なんて言っているわりにザクザク切って「はい仕上がりました!」とすぐに終わりました。今、その髪型なんですけど、なかなかいい感じです。自分の修行時代と比べて、随分変わったなと思います。

 

昔と違って今は、誰にも負けないこだわりと、体育会系の根性を携えて美容師を目指すというより、美容師をしながら少しずつこの仕事が好きになっていくくらいの子のほうが美容師に向いているかもしれない。そんなことを感じている今日この頃です。

 

 

プロフィール
STRAMA
代表/豊田永秀(とよだながひで)

し『DaB』入社。2002年JHA優秀新人賞を受賞。2005年に独立し、東京・代官山に『STRAMA』設立。・2009,2010,2012年と3回JHA(ジャパンヘアドレッシングアワーズ)グランプリノミネート2011年、東京・南青山に『CLARICA & STRAMA』を出店。HEAD OFFICE Drakes tokyo 設立。2017年、現店舗にて新体制のもと「STRAMA」としてスタートする。

 

 

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