たとえまだ半人前でも、お客さまに「世界一上手い」と言える心意気を持て びよう道 vol. 18 STRAMA 豊田永秀さん

「一刻も早くバリバリ稼いで俺たちに楽をさせろ」という言葉に痺れる

 

 

当初は3日間だけアルバイトするという話だったのですが、最終日に代表から「俺たちと一緒に働きたいか」と声をかけられたんですよね。もともと僕はヴィダルサスーンを基本とした技術を学んでいたので、DaBのやりかたはすごく衝撃だったんですよね。前のサロンで1時間かかっていたワンレンが、DaBでは5分で切る人もいる。カラーもパーマも全部見たことがないやり方だったので、ぜひ学びたいと思いました。

 

だから、「もちろん、働きたいです」と答えると、今度は「うちで働くためには一つだけ条件がある」と。「何ですか?」と尋ねると「一刻も早くバリバリ稼いで俺たちに楽をさせろ」って言ったんです。そんな男っぽいヤンチャな言い方されてもうシビれましたね。

 

「もちろん!」と握手をしたあと「みんな集合!」ってスタッフを集めてくれて「彼の入社が決まりました。みんなよろしく!」と紹介されました。だから僕は、DaBに入ったけれど履歴書も何も出してないんですよ。

 

普段褒めない人に「美容師向いているよ、天職だよ」と言われる

 

 

DaBでは先輩たちがものすごく厳しく、僕の尻を叩いてくれました。でも僕って、叱られたことってあんまり覚えていないんですよね。反対に、褒められたことはすごく自分のエネルギーになるし、心に残り続けています。

 

忘れられないのは、山田千恵さんの言葉。僕は名古屋で働いていたころから、メイクを学んでいたし、ちょっとだけ自信があったんですよ。だから「メイクできます!」って言って、山田千恵さんの持っている連載の撮影に連れていってもらったんです。ところが、ヘアに合うナチュラルメイクができない。自分なりにベストを尽くしているんですが、「こうやるんだよ」って全部直されてしまった。その後も撮影は続くから、上手くなるためにとにかく練習をしたんです。

 

ある時、仕事が予定より早く終わり、メーカーさんのお誘いで、おいしいランチをいただいた後の話。タクシーに乗ってサロンに帰るとき、山田智恵さんはちょっと酔っていたのもあると思うんですけど、「アンタ、メイク上手くなったよ。美容師も向いていると思う。天職だよ。だから頑張って美容師続けな」って言ってくれたんです。千恵さんって滅多に褒めてくれないんですよ。だからこそ心に残っています。

 

後輩のキツい一言で目が覚める

 

 

後輩に尻を叩かれたこともありました。正直、自分が美容師に向いているのか分からず、モヤモヤして、朝起きて「行きたくないなぁ」とか「違う仕事についたらどうなんだろう」とか考えていた時期もあったんです。

 

年下なんだけれど、僕より半年くらい早くデビューしているDaB時代の同僚がいるんです。ある時その同僚が「どうしたら売上が上がると思いますか」って相談してきたんです。一緒にお店で飲みながら話をして、僕はまだデビューしていないのに、自分の感じたことをズバズバと言ったんですよね。

 

話が一段落したところで、「今度は俺の話を聞いてほしい」って言って仕事の愚痴を話したんですよね。そうしたら、「俺、そんな話をしたくてここに来たわけじゃないです」って一人で出ていっちゃったんですよ。お金も払わずに。残された僕は屈辱ですよ。でもそのとき思ったんです。「朝起きた時にサロンに行きたくない自分を変えよう」って。

 

 

昔『タクシードライバー』っていう映画があって、主人公が鏡の前で自分に話しかけて鼓舞するシーンがあるんです。「俺はできる男だ」みたいに。それに似た感じで、僕もシャワーを浴びながら「俺はできる」と言い聞かせるようにしたら、朝からモチベーションを上げられるようになったんですよね。朝のシャワーの時間は今も大切にしていて、例えば朝礼で話す内容を考えたり、その日のスケジュールをイメージしたり、ネガティブな気持ちを切り替えたりするために使っています。

 

>お客さまの前では、いつだって世界一の美容師であるべき

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