ニューヨークの美容師ってどんな風に働いているの? 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応  第5回FILMS若林紀元さん×Frederic Fekkai荒川智大さん

「東京とニューヨーク、美容師の仕事はどう違う?」(若林さん)

 

 

若林:ニューヨークでは誰から技術を習ったの?

 

荒川:日本人が経営しているサロンのオーナー。ニューヨークの有名店でスタイリストをしていたから、そこで技術や考え方を習った。そこには日本の有名店で働いていた経験があるユニークな人たちが集まっていて刺激的だったよ。

 

若林:当時と今では事情が違うかもしれないけれど、東京からニューヨークに行って、美容師の仕事のどんなところに違いがあると感じた?

 

荒川:たとえば、カラーでいうと向こうのブロンドヘアのお客さまって9割以上がブリーチでつくっているだけど、そういう人たちが考えているナチュラルと、日本人が考えるナチュラルって全然違うんだよね。日本人は生まれ持った髪の色が均一なので、それがナチュラルだと思うんだけれど、向こうのお客さまは色が均一すぎると「ウィッグみたいでナチュラルじゃない」と感じる人も少なくない。だからあえて、コントラストをつくるんだよね。

 

若林:なるほど。やっぱり髪質も感覚も違うもんね。

 

荒川:スタイルの考え方も全然違うよ。たとえば、コンサバティブなスタイルをつくるとき、向こうではボリューム感が求められるんだよね。いわゆる白人の人たちは髪が細いし、本数も日本人と比べて2割くらい少ない。クラシックなアメリカ映画なんかを見るとわかりやすいと思うんだけれど、みんな髪を立ち上げてボリュームアップしているよね。実際、サロンワークでも、いかにボリューミーに見せるか、腕が試されている感覚があるよ。

 

若林:日本はどちらかというと頭を大きく見せるのは嫌がるから、考え方が全然違うね。

 

荒川:あと、日本ではどんなスタイルも「かわいい」が起点になっている印象だけれど、実はこれって日本独特の文化なんだよね。向こうだと「幼い」っていうイメージをもたれるみたい。キュートよりはゴージャス、クールが求められている。

 

若林:ニューヨークだから特に顕著っていうわけでもない?

 

荒川:世界中からいろいろな人種の人たちが集まっている場所だから、一概には言えないね。でも、やっぱり日本は「かわいい」がベースにあるでしょ? ニューヨークでは本当に求めるものが一人ひとり全然違うし、トレンドにも引っ張られず、それぞれのスタイルを求めているよね。

 

>「最初、『君はテーラーではなくデザイナーだから』って言われたんだ」(荒川さん)

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