夜営業で知ったプラス540円の価値。創業70年を超える老舗美容室3代目の想い―hull濱田健太さん

 

兵庫県高砂市にある「hull(ハル)」は、23時まで営業している美容室。1年半前から試験的に夜営業をはじめてみたところ、思っていた以上に反響があったそうです。

 

そこで今回は、オーナーの濱田健太(はまだけんた)さんにはじめた経緯やメリットをうかがいました。美容師としてだけでなく、街の住人としても、さまざまなおもしろいことにチャレンジする濱田さん。夜営業にはどんな発見があったのでしょうか。

 

出産や結婚を経験した美容師なら、心強い。夜営業をはじめたきっかけとは?

 

 

約12年前に神戸市元町にある美容室を辞めて、地元である兵庫県の高砂市へとUターンし、祖母の代からやっている美容室「ミスターハマ」を継ぎました。店を継いで3年後に店名を祖母の名前「hull(ハル)」へ改名し今に至ります。

 

うちの美容室で働いているスタッフは8人いるのですが、そのうち6人が出産や結婚を経験した主婦のスタッフなんです。うちの客層はトレンドを追いかけている人たちだけでなく、老若男女問わず幅広い世代の方がいらっしゃいます。

 

加えて、昼間のお客さまは主婦の方が大半だったこともあり、「スタッフも同じ主婦なら共通の話題が豊富で話しが合うだろうし、出産や結婚を経験したスタッフならお子さまの扱いにも慣れていて心強い」と思い、先代のころから積極的に採用していました。

 

ただそういった主婦スタッフに「17時や18時まで働いてほしい」と言うのはやはり難しいもの。

子どものお迎えや夕飯の支度などがあるので、仕事をする上では“勤務時間は16時まで”という時間のラインがすごく重要なんです。だから、スタッフの働きやすさを考え、5年ほど前から主婦スタッフ全員の勤務時間を16時までにしました。

 

夜営業をはじめたのは、このスタッフの労働時間が背景にあります。

以前から、夜の時間を活用したいと考えていたので、「昼間のスタッフが16時に帰るのなら、16時で一旦お店を閉め、夕方から営業を再開する昼夜2部制にしたらいんじゃないかな。夜は夜で別のスタッフを配置してみたらおもしろそう」と思ったんです。けれど、夜の時間に店を開けても、お客さまがきてくれるのかわかりません。

 

だからまずは、夜の時間にどのくらいニーズがあるのか知りたくて、1年半前から試験的に水曜のみ22時まで夜営業を行うというスタイルを取り入れてみることにしたんです。

 

もし、夜の時間にニーズがあり、昼夜2部制の営業ができたら、「育児をしながらのサロンワークは無理だろう…」と、結婚や出産を機に一度は美容師という職から遠のいていた人が、再び活躍できる場を増やせると思ったんです。

 

仕事と育児の両立を目指す主婦スタッフにとって、いくらオーナーと“16時までの勤務”と契約を交わしていても、16時以降も美容室の営業は続いていくわけですから、店が混んでいるときに先に仕事を切り上げなければならないのは心苦しく感じるはず。

けれどこの営業時間を定番化できたら、主婦スタッフも店側に気を遣うことなく仕事を上がることができると思ったんです。

 

>時間を有効に使える美容室に。トレンドをいち早く取り入れることより、大切にしていることとは?

 

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