お客さんの「カルト化」がブランド価値につながる。床屋を新たな“溜まり場”に進化させるMERICAN BARBERSHOP FUKの試み

 

木製の重厚な扉をくぐると地下へ続く階段があり、降りていくと男性たちが身だしなみを整えるバーバーがある。バーバーの奥にはさらにスペースが設けられ、日夜、クールな人々がドリンク片手に談笑している——。

 

そんな一風変わったバーバーとは、福岡にある「MERICAN BARBERSHOP FUK」。2015年に神戸にオープンした「MERICAN BARBERSHOP」の2店舗目で、喫茶店とバーラウンジを併設したバーバーとして2018年4月にオープンしました。オーナーの結野多久也(ゆいの たくや)さんは、なぜこうしたバーバーを作ったのでしょうか。サロンを「コミュニティ化」する意義について、結野さんにうかがいました。

 


 

メリケンをオープンしたのは、自分が行きたいと思えるサロンがなかったから

 

 

外資系IT企業で会計コンサルタントとして4年ほど働いた後、2005年に実家の日仏商会を継ぎました。日仏商会は神戸を拠点とする、美容品の卸会社です。継いだときには3年近く赤字が続いていましたが、経営陣を入れ替えたり、人事制度を整えたりして、経営を立て直しました。現在はバーバーショップも含めて当時の3倍近い売上をあげるまでに成長しています。

 

2011年、M&Aによりもともと神戸にあったサロン『Breath beauu(ブレスボー)』をリブランディングして、サロン経営に乗り出しました。その後の2015年7月、神戸にオープンしたのがバーバー『MERICAN BARBERSHOP(メリケンバーバーショップ)』です。

 

バーバーという形態を選んだ理由は2つあります。一つは、当時海外でバーバーショップがクールなものとして脚光を浴びていたこと。そのトレンドを、早めに国内でも仕掛けたいと考えました。

 

もう一つは、自分が行きたいと思えるサロンがなかったことです。当時の僕は美容室に行くのも照れくさいし、かといって昔ながらの床屋にも抵抗があった。それなら、自分が行きたいと思える店舗を作ろうと思ったんです。

 

「ネオクラシック」をキーワードに、床屋を再定義

 

神戸店舗、スタッフの打ち合わせ

 

メリケンのコンセプトはネオクラシック」。日常にあるなじみ深いものを、僕たちなりの感性で再定義することです。たとえば最近だと、カセットテープも「昔使われていた古くさいもの」というイメージから、逆に新しくてかっこいいものへと再定義されていますよね。それと同じように、床屋を再定義してバーバーショップを作ろうと思いました

 

それから、自分たちの立ち位置として「ストリートスマート」を掲げています。これはストリートカルチャーも、企業からのビジネス案件=スマートもどちらも行ったりきたりできるぜ、というサロンのポジションを表した言葉ですね。

 

この「ネオクラシック」と「ストリートスマート」を軸に、現在メリケンは神戸と福岡の2店舗を展開しています。売上は2店舗合わせて毎月1,500万円以上、カットしているお客さんは2,000人以上です。

 

さらにアパレルやライフスタイルに関する事業を展開する『ベイクルーズ』や、コワーキングスペースを運営する『WeWork』など、企業とのコラボも積極的に行っています。こうしたイベントを含めた動きを、お客さんも企業もおもしろがってくれていますね。

 

>福岡にオープンした理由は、街にあった雰囲気のよさ

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