「美容業界=LGBTフレンドリー」ではない。美容室に必要なのは想像力だ ―グッド・エイジング・エールズ松中権さん|美容室とセクシュアル・マイノリティvol.1

美容室は普段の人間関係とは違う、ちょっと特別な場所

 

 

—LGBTフレンドリーになることは、当事者の人たちが過ごしやすくなる他にはどのようなメリットがありますか?

 

一般企業で話を聞いていると、当事者以外でもLGBTへの取り組みをしていることに魅力を感じて入社したという人がいます。今は自分らしい働き方を多くの人が気にしている時代です。働きやすい職場の象徴として、LGBTフレンドリーであることを一つの目印にしている人もいるので、スタッフ募集の面でもアピールになるはずです。

 

また、当事者間でも「あの職場は理解があって働きやすいよ」という情報が共有されます。30〜40代のベテランの方でも、「やっぱりいい環境で働きたい」と感じると思うので、美容室で理解を進めることは離職回避にも繋がります。

 

そして、差別的な発言やLGBTをネタにする風潮があれば、お客さまが離れていく可能性もあるはず。当事者はもちろんですし、友だちや家族、親戚に当事者がいるというお客さまも嫌な思いをするでしょう。理解を進めることは、お客さまに通い続けてもらうことにも繋がると思います。

 

―当事者ではなくても、当事者の方と関わりをもった人はいるかもしれない、と想像することが大切なんですね。

 

美容室は会社や家族とは離れているけど日常的な会話ができるという、ちょっと特別な場所。普段の人間関係では言えなくても、美容室でならカミングアウトしてみようかな、という人もいると思います。そこで受け入れてもらえれば、その美容室はお客さまにとって安心して過ごせる大切な場所になります。

 

そんな環境を作るためには、オーナーの方が理解し、職場環境を変えていくことが不可欠です。この記事をきっかけに、LGBTフレンドリーな美容室が増えていくといいなと思っています。

 

プロフィール
グッド・エイジング・エールズ
代表/松中 権(まつなか ごん)

1976年石川県出身。一橋大学法学部卒業後、株式会社電通に就職。2010年にグッド・エイジング・エールズを設立。「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」を合言葉に、LGBTといろんな人が一緒に楽しめる社会づくりを応援。主な活動内容は企業研修やNPO・NGOとのコラボレーションを通したLGBTフレンドリーな場づくり、ワークショップやイベント、シェアハウスなど多岐に渡る。

 

(取材・文/小沼理 撮影/河合信幸)

 

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