“靴磨き=スキンケア” 顔が映るまでピカピカに磨く -資生堂 原田忠さんの習慣 後編-

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資生堂トップヘア&メーキャップアーティストであり、ヘアメーキャップスクールSABFA校長を務める原田忠(はらだ ただし)さん。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』や『テラフォーマーズ』とのコラボ作品など、斬新な表現で業界にインパクトを与えるイノベーターです。今回はそんな原田さんに、日ごろ大切にしている習慣を伺いました。インタビューは前後編の2回。今回は後編です。

 


 

靴を鏡に、ズボンの折り目でヒゲを剃れ

 

僕は元々戦闘機のパイロットを目指して、自衛隊に入隊していました。航空管制官の学生として配属されていたのは、愛知県にある小牧基地。ちょうど湾岸戦争が勃発した時期で、PKOの輸送機の拠点だった小牧基地は有事の緊張感に包まれていました。

 

自衛隊は死と隣り合わせの仕事。常に有事に備えておかねばなりません。だから自衛隊では「身辺整理」といって、いつも身ぎれいであることが求められます。

 

「靴を鏡に、ズボンの折り目でヒゲを剃れ」という比喩表現があって、靴磨きやアイロンがけが習慣化し、徹底しています。それができないと一人前とみなされない。身辺整理には、自分を律するという意味が込められています。

 

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自衛隊には、独特の美学もありました。たとえば、山で戦闘訓練をするとき、着替え用にまっさらな戦闘服とピカピカに磨いたブーツを持っていくんです。でも訓練中は絶対それを着ません。雨が降っても、ドロドロに汚れても、です。そして、基地に戻るときにようやく着替えて、何ごともなかったかのように晴やかに帰還するんです。「命ののやり取りをする場」に身をおく者はすべからく美しくあるべきだという考えが植え付けられるのです。

 

自衛隊時代の経験はいまだに僕に影響を与え続けています。その代表が「靴磨き」。一度はじめたら顔が映るくらいまで磨きます。無心になれる貴重な時間です。

 

>靴磨きは一種の儀式

 

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